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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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S香織逮捕-2

翌日の取り調べは多摩川警部自らが行った。昨日とは違う優しい話しぶりだ。
「香織さん。あなたには動機がある。夫を奪われて十数年の苦労を思えばその気持ちはよく分かります。」
そんな懐柔策にも屈しなかった。「でも私はやっていません。」犯行だけは絶対に認めなかった。
大きくため息をついた多摩川が机の上のスニーカーを箱に仕舞った瞬間、香織の眼がその箱の上で止まった。
箱をジッと凝視したまま固まってしまったのだ。何かあると見抜いた多摩川はその箱を机の上に置いた。
「多摩川警部殿」と書かれた筆跡は見間違う事も無い息子の筆跡だったからだ。
息子に見捨てられたというより息子に売られたのだという思いが一気に香織の戦意を削いだ。
ぽつりぽつり犯行の模様を話し始めた。田川刑事に合図して逮捕状を請求させた。
やはり最初は古物商許可証に大谷史郎の名を見つけたところから始まっていた。
「同姓同名、名義貸し、など多少の心配もあったので川之江市の大谷史郎がこの地の久永光輝になるまでの足跡を
たどってみましたが途中で途切れてしまいました。」
「ABC印刷で途切れたのでしょう。彼の姉を名乗っていたのはあなたですね。」
「おっしゃる通りです。それで当たって砕けろと言う思いで久永書店を訪れました。閉店直後に行きました。」
「あなたは川之江で夫を殺した大谷史郎でしょ。」一瞬ギクッとした後開き直ってこう言いました。
「そうだけど。もう禊は済んだはずだよ。それより10年以上も未亡人を続けているんじゃ欲求不満だろ。」
と言って襲い掛かって来たんです。「お詫びに奥さんを慰めるからそれでお仕舞にしてくれ。」
首を絞められてレイプされたんです。終わった後「どうだ良かっただろ。可愛がって欲しかったら明日もおいで。」の言葉で
迷いは吹っ切れました。翌日深夜、バッグにナイフを忍ばせて裏庭に入りました。
そこで彼はバットを振ってトレーニングをしていました。私の顔を見て「やっぱり昨日はよっぽど良かったんだね。」
と部屋の方へ向き直った瞬間後頭部へ全力の一撃を加えました。後は後ろも見ずに逃げ帰りました。
「それじゃ、計画的犯行だね。」
「その通りです。凶器がナイフから金属バットへ犯行現場が室内から裏庭へ変わりましたが決行しようと決めていました。」
「それで今は犯行を後悔していますか。」
「いえ。彼は殺されて当然の男だと今でも思っています。自責の念はありません。」
「それではなぜ自白する気になったんですか。昨日まで犯行は頑なに拒否していたのに。」
「それは・・・それは言いたくありません。」
多摩川は見抜いていた。香織の態度が変わったのはシューズケースを凝視した後だった事を。
「後ほど息子さんに会いに行きます。伝えたい事はありませんか」
「それじゃ『母さんが悪かったわ。』とお伝えください。
でも何故、健一に会いに行くにですか。あの子は関係ないでしょ。

「この事件が解決出来たのは彼のお陰だと思っています。それに身寄りのなくなった中学生をほっておけないでしょう。」
「その通りです。その靴を送って来たのは息子の健一です。どうか息子の事よろしくお願いします。」


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