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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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Q捜査の前進-2

「お早うございます。警部、今日の行先は川之江の町田中学ですか?それとも新居浜の別子学園ですか?」
多摩川は笑いながら答えた。「どちらでもないよ。ただ事件は大きく動くと思うよ。」
田川は車内販売のコーヒーを飲みながら「警部、もう5分ほどで丸亀ですよ。」 降りる気配はない。
丸亀の永田校長に会わないのならどこへ行くのだろうか。「警部そろそろ教えて下さいよ。」
「行先は松山だ。」「松山と言えばあの寒村の大道さんのお宅ですか?」
「そうだ。向こうへ着けば君にも分かると思うよ。」


昼間は畑仕事で家にいないのは分かっていたので駅前からバスに乗ったのは夕方だった。
「やあ、これはあの時の刑事さん達じゃないですか。まだなんかご用事があるのかの。」
「ええ。あの時に見せて頂いたお孫さんの写真をもう一度見せて欲しいのです。」
「ああ、やっぱりだ。僕の記憶に間違いはなかった。
大道さん。お孫さんを抱っこしているのはお母さんの大道翔子さんですよね。」
「そうじゃ。嫁の翔子と孫の健一じゃ。翔子は写っとらんがな。」「大道さんこの写真を貸していただけないでしょうか。」
「いいじゃろう。ただ孫の写真はこれ一枚だけじゃに必ず返すんじゃぞ。」
お礼を述べさっそく帰路についた。「警部。この写真何度見ても分からないんですが、事件にどうかかわっているのですか。」
「分からないのか。まだまだ捜査官としては未熟だな。毎日の捜査に全神経を集中していれば分かる筈だよ。」
署に着くなり署長室に飛び込んだ。「田川君、田所香織を任意で引張るぞ。」
「田所ってあの権藤麻紀子と久永光輝の関係を教えてくれた少年のお母さん?」
「そうだ。それと同時に似顔絵のそっくりさんとして捜査した女性でもある。」
「こんばんわ。田所香織さん。警察です。ここを開けて下さい。」「寝間着ですのでしばらくお待ちください。」
と言ったきり時間はどんどん過ぎていく。しびれを切らした田川がドアーをノックする。
それに反応するかのように静かに開いた。
「大道翔子さんですね。事情聴取したいので同行願います。」
取調室で多摩川は香織こと翔子と対面していた。そしてあっさりと自分が大道翔子である事を認めた。
「でもどうして分かったの?」「その前にあなたはどうして結婚指輪を小指にしているのですか。」
「夫が指のサイズを間違って注文してしまったのです。あの頃貧しい二人にはもう一度注文する余裕が無かったのです。
小指にはめた
ところピッタリでそれだけでも幸せだったのです。それ以後ずっと小指にはめています。」
彼女の前に一枚の写真が置かれた。彼女の息子が赤ん坊の時の写真だ。
「この赤ん坊を抱いているお母さんは写っていませんが手だけは見えます。小指に結婚指輪をしていますよね。」
「よくこんな写真見つけたわね。そうか松山のお義父さんとこね。」
観念したのかそれ以後多摩川の質問にはすべて正直に答えた。
大谷史郎の姉と偽って四国を調査した事も、ABC印刷に電話を掛けた事も認めた。
発端は久永書店のレジ横に貼られた古物商許可証だ。そこに忘れられない大谷史郎の名前を見つけたのだ。
そして四国を調べたのは久永が大谷だと言う確証が欲しかったからだ。
「殺した相手が大谷じゃなかった場合の事を危惧したんだな。」
「刑事さん。私が久永殺しの犯人だと思っていらっしゃるの。憎い相手だが殺してはいませんよ。」
「そうだよね。動機は充分あるよね。そしてたまたますぐ近くに住んでいる事が分かった。なら決行するだろう」
「ええ。その積りでした。でも確証が得られなかったので思い止まったんです。
万一他人だったらと言う思いが消えなかったのです。」
殺人だけは認めなかった。
自供が無ければ逮捕状の請求は無理に決まっている。
任意の取り調べにも黙秘することなく応じているから「証拠隠滅や逃亡の恐れ」を理由に逮捕する事も出来ない。
印象は黒だが確たる証拠がない。帰すほかはなかった。
「警部よく結婚指輪に気が付きましたね。僕はさっきまで気付かなかった。」
「実は一昨日彼女の自宅を訪れて君が尋問している時に気付いたんだ。
でもそれが松山で見た写真と思い出せなくてイラついていたんだ。本当なら瞬時に思い出さなくちゃいけないのにね。」
「僕はまだまだ注意力散漫です。写真見ても面会しても指輪まで神経が回らなかった。
彼女の張り込みは神経を研ぎ澄ましてやりますので安心していて下さい。」


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