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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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H久永の経歴-2

高校は存在すらしない名前だったが中学校は実際に存在した。愛媛県川之江市立町田中学校だ。
調べてもらったがその年の卒業生に岡田信二も久永光輝も名前は無かった。
どうしてもそれ以上の過去に遡れないのだ。ただ人に恨まれる事は多々していそうな雰囲気はあった。
長野で奪った500万円を元手にしてこの地で開業したのであろう。
そこまで考えたときハッと気付いた。何で今まで気付かなかったのだろう。
履歴書は誤魔化せても店の契約書や登記は誤魔化せないはずだ。
本名が分かった。大谷史郎それが彼の名だ。住所も分かった。川之江市大手町三丁目・・・。
やはり川之江に住んでいたんだ。
もう一度、所轄の刑事に頼んで調べて貰った。
夕方電話があった。「多摩川警部、確かに卒業者名簿にその名前は有りました。
でもへんなんです。大谷史郎だけはどのクラスにも属していなくて欄外にその名が有りました。
先生方にも聞いてみたんですが10年も前の話で解る人はいませんでした。」
「忙しいのに悪かったね。ありがとう。多分僕がそちらに行くことになると思うのでその節はよろしく頼むね。」
さっそく翌日上司の許可をもらい四国に向かった。
真っ先に町田中学校へ行ってみたが所轄の巡査が言っていた通り先生方も首を傾げる。
大手町三丁目の住所を訪ねてみたが賃貸住宅で今は彼とは関係ない人が住んでいる。
以前住んでいた人の事は全く知らない様だ。
同窓生の一人をたづねてみたが大谷史郎のことは記憶にないと言う。
卒業者名簿のコピーを見せたところで少し待たされた。
卒業アルバムを探して持って来てくれた。
生徒の名前が全員記載されているのだが彼の名前は無かった。
卒業者名簿にある名前が卒業アルバムにないのだ。
そこまで調べてもう一度、町田中学校に戻った。
校長の話によると「卒業アルバムに漏れる生徒は100%いないですよ。
撮影日に欠席していた子は顔写真だけが載せられます。
不登校の子も家族から写真を貰って同じように載せます。
それに「僕の写真がない。」というクレームも無いのです。
その人本当にうちの卒業生なんだろうか。」
「彼がこの学校の校区に住んでいたのは事実だし中学は義務教育だ。
この学校に通っていたのは間違いないだろう。」
「そうですね。問題は卒業アルバムに写真がない事ですね。
もし転校していれば卒業者名簿に名前が載る筈はないですもんね。」
「当時の事をご存知の先生は居ませんか?」
「丸亀で校長をしている永田先生がその頃こちらで教鞭をとっておられました。ちょっと電話してみましょう。」
長い電話だ。最初はにこやかに話していたのがだんだん厳しい顔つきに変わるのがわかる。
「駄目です。知らないそうです。大谷史郎という名前にも覚えがないしアルバムの件は今初めて知ったようですよ。」
「丸亀のなんていう学校ですか。一度訪ねてみたいので教えて下さい。」
「それが彼から教えないでくれと頼まれてしまったので教えるわけにはいきません。お帰り下さい。」
と態度も急変した。「でも、丸亀・校長・永田とこれだけわかっていればすぐにでも突き止められますよ。」
「その通りですね。彼、以前に警察や報道陣に追いかけ回された経験があって警察嫌いになっているようです。
行っても会って呉れないでしょうね。」その日は上司の許可をもらってこちらで一泊した。
翌日永田校長を訪ねたが会って貰えなかった。対応に出た教師によると「校長は会いたくないそうです。
どうしても会いたいなら令状を取って下さい。と言っていましたよ。」
放課後まで待って帰宅途上の校長を狙ったが鋭く跳ね除けられた。
自宅までついて行ったが間もなく警官が来てここから離れるように指示があった。
本部に連絡したが「そこまで調べれば十分だ。一旦帰ってきてくれ。」との指示を受けた。


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