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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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A捜査本部-1

A捜査本部


 多摩川警部は事件を整理してみた。
1・死亡推定時刻=4月20日22:00〜24:00
2・殺害現場=本屋の裏庭
3・被害者=本屋の主人久永光輝(25歳)
4・死因=脳挫傷
5・凶器=被害者の金属バット
6・その他=足跡ナイキ24cmのスニーカー
被害者に100万円を貸したM
肉屋の息子と口論
        牧村直美と不倫関係
(もう一人の久永の女?)

最後の項目はカッコで囲んだ。捜査本部が認めていないからだ。
だから聞き込みに部下を使うわけにはいかず少しづつ捜査を進めた。
ラブホや旅館の類を一軒づつ潰していった。
捜査本部の本来の捜査があるので遅々として進まない。
休みの日もこの捜査にあてた。
郊外のラブホで「この男来た事ありますよ。彼女は30歳くらいかな。綺麗な人でしたよ。」
直美の写真を見せた。「そう。この人に間違いないよ。うちのホテルには二人で三回くらい来てますよ。」
また一軒づつ潰す作業を再開させる。
完全に潰し終わっても彼女の存在は浮かび上がらない。
もう一人の女は牧村直美の勘違いかもしれないが多摩川はそうは思わなかった。
地道に聞き込みをしている時、本屋の隣の奥さんから「久永さん最近深夜によく外出してわよ。」の証言を得た。
「やっぱり。場所はホテルではなく彼女の自宅だったんだ。」
徹底的に彼の足取りを追ったが行先は不明だった。細心の注意を払って逢瀬を楽しんでいたのは確かだ。
それに深夜ゆえ人に見られる事も無かったのであろう。
もしあの日の深夜の行先が愛人の直美の店だとしたら「駄目よ。夫が帰ってくるかも知れないのよ。
私があなたの家を訪ねるわ。12時までに行くから裏の扉をあけておいてね。」
これはあくまでも多摩川の推理だがもう一度調べ直してみようと思った。
ナイキの24cmスニーカー・100万円の金を貸したM(牧村)・被害者の愛人など根拠とするべきことが多い。
11時までのアリバイは証明されているがそれ以後の一時間が不明だ。
もう一度任意で出頭して貰った。
「牧村さん、店の女の子から聞きました。あの日は11時くらいまで一緒だったと証言しています。」
「そうよ。だから私のアリバイはほぼ成立しているのよ。」
「女の子たちは言っていましたよ。毎日15人ものお客をこなすのは重労働だわ。一人で5人はきついわよってね。」
「それがどうしたのよ。事件に関係ない事なら帰らせて頂くわ。」
「税務署には来客数5人で申告していますね。そうして脱税した金を彼に貸したのではないですか?」
「そっそれは・・・・・警察がそんな事調べていいのですか。彼とは金銭の貸し借りは無いわ。」
「いい加減に白状しろ。お前意外に容疑者はいないのだ。貸した金のこじれから殺害してしまったのだろう。」
追い詰められて直美は黙った。脱税は事実なのでそれ以後何を聞かれても黙秘を続けた。
裁判所の拘留許可が下りないのでこのままでは帰宅させるより他はない。
捜査員は必死で自白をせまったが、この黙秘の壁を打ち破れなかった。
だが黙秘した事により直美の印象は悪く、「これで犯人は決まったね。後は証拠固めだ。」と言い切る刑事もいた。
それ以後捜査の対象を一人に絞り徹底した聞き込みを展開した。
そしてついに重大な証言を手に入れたのだった。


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