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美雪
【学園物 官能小説】

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美雪-7

 病院は古い建物と新しい建物が複雑に入り組んだ大きな病院だった。病室に行くと既に手術は終わっていて、単純な虫垂炎だから何も問題は無いという。
 「手術痛かった?」
 「手術は痛くなかった」
 「麻酔するんだから痛い訳ないだろ」
 「だから麻酔が」
 「ドーンと叩かれたみたいな感じがしたけど、痛いとは思わなかった」
 「あとはオナラが出るのを待つだけだね」
 「お前だとしょっちゅうしてるから得意なんだけどな」
 「私オナラなんかしてないもん」
 「自分の部屋ですると聞こえないと思ってるのか?」
 「オナラじゃないもん」
 「じゃぁ何だよ、あれは」
 「お尻の呟き」
 「呟きだぁ? 吼えてるんじゃないか」
 「お母さん、お兄ちゃんたらねえ、私がまだ生理来てないと思ってたのよ」
 「オナラの話はどうしたんだよ。話を逸らすな」
 「お兄ちゃんこそ話を逸らさないでよ。もう高校生になってるっていうのに、まだ生理が無いと思ってたのよ」
 「小学校の時に来てますよ」
 「だから、ちょっとからかったんだ」
 「嘘ばっかり。驚いてた癖に」
 「何か欲しい物があれば、売店で買って来てやるけど」
 「今はいいわ。何も要らない」
 「そうだ。お金持ってきたから渡しとくね」
 「いくら?」
 「10万円」
 「10万円なんてどこから持ってきたんだよ」
 「私のお金じゃないもん」
 「当たり前だ。お前が10万円も持っててたまるか」
 「あんまり沢山あると危ないから、半分でいいわ。退院の時に持ってきて貰う」
 「それじゃ5万円俺が持って帰るわ」
 「お兄ちゃんは駄目」
 「何でだ」
 「危ない」
 「俺が使い込むとでも思ってるのか?」
 「思ってる」
 「何?」
 「思ってないけど落とすから」
 「馬鹿な」
 「傘だってバッグだって何回なくしたのよ」
 「あれは無くしたんであって落としたんではない」
 「同じじゃない」
 「網棚において降りる時に忘れたんだ。落としたのとは違う」
 「どっちにしても危ないわ」
 「まあ、美雪に持っていてもらいなさい」
 「ほら」
 「何がほらだ」
 「お母さんだって、ああ言ってる」
 「それじゃお前が持って帰れ」
 「二人で夕飯食べて帰りなさい」
 「何処で?」
 「何処でもいいわ。少し高い物食べていいから」
 「良し。焼き肉にしよう」
 「パスタがいい」
 「パスタって何だ?」
 「スパゲッティとか」
 「そんなの厭だ」
 「どうして?」
 「不味い」
 「美味しいのだってあるよ」
 「焼き肉にしろ。スパゲッティなんて炭水化物ばっかりで、又オナラをする」
 「失礼な」
 「それじゃ、母さん帰るよ」
 「はい。有り難う」
 「おい、行くぞ」
 「うん」
 「腕をつかむなって言ってるだろ」
 「だって、もう荷物は無いじゃない」
 「荷物が無くてもつかむな」
 「それじゃ、こうやって歩く?」
 「気持ち悪いことするなよ」
 「この間ピンクのセーターとこうやって歩いてたじゃない」
 「セーターと歩いたりするか。セーター着た人と歩いたんだ」
 「当たり前でしょ」
 「お前な、兄妹でベタベタするなんてみっともないと思わないのか?」
 「どうして?」
 「まだ子供なんだな」


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