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美雪
【学園物 官能小説】

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美雪-14

 「しつこい奴だな。それは寿命だったんだ。俺が壊したんじゃない」
 「お兄ちゃんに渡したのが馬鹿だった」
 「明日買えばいいだろ。1000円で買えるんだから」
 「値段の問題じゃないって言ったじゃない」
 「そうだ。壊れたんなら、いくらしようと買わない訳にいかない。値段の問題じゃない」
 「全く」
 「それは何だ? 何買って来たんだ」
 「だから目覚ましよ」
 「何? 何だそれは」
 「どうせお兄ちゃんに直せる訳ないから買いに行ったの。でも、壊されるとは思わなかった」
 「壊したんじゃない。直らなかっただけだ」
 「オルゴール気に入ってたのに」
 「だから、オルゴールも寿命が尽きる寸前まで来てたんだな。丁度俺が受け取った瞬間に寿命が来たんだろ」
 「分解して寿命を奪った癖に」
 「俺が直してるっていうのにお前が買いに行ったりするから俺はやる気をなくしたんだ」
 「私が目覚まし買いに行ったなんて知らなかった癖に。あーあ。可哀想な目覚ましちゃん」
 「何が目覚ましちゃんだ」
 「こんなにバラバラにされちゃって」
 「俺は勉強するんだから、もう出ていけ」
 「お兄ちゃんの馬鹿」
 「オルゴールなら今度買ってやる」
 「ふん、いい加減なこと言って」
 「いい加減じゃない。オルゴールくらいいつでも買ってやる」
 「お金はあるの?」
 「だから金があるときはいつでも買ってやる」
 「それじゃ永遠に買わないってことじゃない」
 「だから今度小遣い貰ったときだ」
 「それじゃお母さんに言って、オルゴール代だけ直接私に渡してもらおう」
 「何? 変なことするな」
 「だってそうしないとおにいちゃん直ぐ使って文無しになるから」
 「そんなことない」
 「どうせ買ってくれるんならそうしたっていいじゃない」
 「いや、良くない。買ってやるというのは金を出すというだけではない。俺が店に行って選ぶと言うことも含んでるんだ」
 「だからお母さんに貰ったお金持って私がお兄ちゃんと一緒にお店に行くから」
 「うっとうしい奴だな。お前の見てないところで買って、お前を喜ばしたいといってるんだ」
 「見てるところで買ってくれても私は嬉しいよ」
 「何を買ったか知らなければ開けてみたとき嬉しい驚きがあるだろ」
 「悲しい失望があるかもしれない」
 「何だそれは?」
 「どうせ買うなら何でこんな変なもの買ったのよっていう失望」
 「馬鹿にするな。変なものなんて買うか」
 「だって昔私の誕生日に小銭入れ買ってくれたじゃない」
 「だから何だ。変なもの買ったか?」
 「ガマガエルの絵が描いてあったじゃない」
 「ガマグチというからわざわざガマガエルのを探したんだ」
 「女の子がそんなの持てると思うの? 恥ずかしくてしょうがないじゃないの」
 「それでお前は泣いてたのか」
 「そうだよ」
 「俺は嬉しくて泣いてるのかと思った」
 「貰ったときは箱に入ってるから嬉しくて泣いたの」
 「そうだろ」
 「でも空けた時に悲しい涙に代わった」
 「そんなもの突然変わっても俺にはわからない。今度泣く時は、嬉しいから泣いてるとか、今は悲しいから泣いてるとか実況中継してくれ」
 「馬鹿。実況中継しながらなく人が何処にいるのよ」
 「もう俺は勉強するんだから出てってくれ」
 「ふん。本当に買ってよ」
 「何を?」
 「何をじゃないでしょ。オルゴールよ」
 「分かった分かった」


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