妙子-14
「どうして男ってそんなことばっかしたがるんだろ。チンポ入れた方がよっぽどいいのに」
「チンポはな、バッテリー交換式じゃないだろ？ 充電式なんだ」
「何それ？」
「だからエネルギーが充電して来るまでは立たないだろ。その点バイブレーターはバッテリー交換式だから無くなっても直ぐ交換して回復出来る」
「何か研の理屈って難しくて分からない」
「そうか。難しいことは考えないでいいぞ。考えるのは俺の役割。俺の考えたことを実行に移すのがお前の役割だ」
「実行に移すって？」
「だから突起付きパンティを穿くのがお前の役割」
「それでどうすんの？」
「行く行く行くって何処でもいいから遠くまで行くだけの話だ。目的地はお前の好きな所でいい」
「それ穿いて何処っかへ行けって言うの？」
「お前感じて来ると行く行くって言うだろ。だからそれ穿けば何処かへ行くことになるじゃないか」
「馬鹿。そんなの穿いても行かないよ」
「行くさ。お前が狂乱状態見せて十分楽しませてくれたら又何か買ってやる」
「何かって？」
「そうだな。エロい下着でも」
「研はそんなことばっか考えてるね」
「お前はセックスばっか考えてんだろ。似たようなもんだ」
「セックスの方がいい。セックスの方がよっぽど健全だよ」
「あのな、お前。バイブレーターだのエロ下着だのって俺がそういうのに興味なくてだな、お前と同じように単なるセックス気違いだったらどうなると思う。お前に覚醒剤ぶち込んで１日中やり狂うことになるぞ。お前その方がいいのか？」
「覚醒剤なんて怖い」
「そうだ。覚醒剤なんてのはな、人間やめますか、覚醒剤やめますかってんで、大抵は人間やめる方選んじゃうんだ。それに比べたら俺が如何に健全な趣味人か良く分かるだろ」
「そうか」
「そうだ。そうしたらセックスの方がよっぽど健全だなんて不埒な言葉は出て来んだろうが。あ？ どっちが健全かは言うまでも無いな？」
「うん、そうだね」
「分かれば宜しい。それじゃ明日突起付きパンティ買いに行きましょう」
「一緒に？」
「行きたく無いのか？」
「恥ずかしい」
「何が恥ずかしい。落ちてる物を拾いに行くんじゃない。店で売ってる物を金出して買うのが何で恥ずかしいんだ」
「だってそんな物」
「そんな物とは何だ。生理用品買う方がよっぽど恥ずかしいだろ？」
「どうして？ 別に恥ずかしく無いよ」
「そうか？ お前は恥知らずだな。あそこからだらだら血が出てくるから、あるいはもう直ぐ出てきそうだから買いに行くんだろ。そんなの想像してみろ、恥ずかしくて買いに行けるか？」
「それって恥ずかしいの？」
「だから恥知らずだって言うの。それじゃ例えば痔が悪くてだらだら血が出てるから痔の薬買いに行くと考えて見ろ。恥ずかしいとは思わんか？」
「それは恥ずかしい」
「そうだろ？ ケツの穴からダラダラ血が出てるとこ想像されて見ろ。平気な顔なんか出来んだろが。生理なんて場所だって現象だって似たようなもんじゃないか」
「痔と生理が？」
「ああ」
「でも生理は誰でもあるんだよ」
「俺は無い」
「馬鹿。当たり前だよ」
「分かりましたね、妙子さん」
「何が？」
「だから明日一緒に買いに行くってことをだ」
「痔の薬買うの？」
「馬鹿」
「突起付きのパンティ？」
「そうだ。生理用品買うのかなんてとぼけやがったらちょっと可愛がってやるところだった」
「でも生理用品もそろそろ買っておかないと」
「あのなあ、それはいくらでも好きなだけ買ってくれよ。そんなに買いたけりゃトラック一杯買ってもいいんだ。但し俺と一緒でない時にな」
「何で？ 出るついでじゃない」
「お前、俺が変態だと思われてもいいのか」
「何で？ 誰も変態だなんて思わないよ」
「男と女が生理用品なんか一緒に買いに行ったら、こいつら生理なのにやんのかよ、なんて思われちゃうじゃないか」
「そんなこと思わないよ、誰も」
「思う。お前が鈍いから思わないだけ」
「そうかなー？」
「そうだ」
「それじゃ、お店の外で待っててくれれば私１人で買ってくるから」
「まあ、それなら異常な優しさを発揮してどうにか我慢してやるから、トラック一杯なんて買ってくるなよ」
「そんなに買ったって使い切れないよ」