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俺は他人棒
【熟女/人妻 官能小説】

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真壁宏美(41)-5

「枕営業とかって、あったりするんですか?」

 二度目の取材は、土曜の昼からランチを兼ねて敢行した。
 最初の突発インタビューと違って予め約束した上の面会であるためか、宏美は大分めかし込んで来てくれていた。
 濃紺のノースリーブカットソーは嬉しいチョイス。やや暑い日差しの中を歩いてきた宏美は腋に汗染みを作っており、俺としては見ているだけで射精しちまいそうな眼福だった。
 四十路にもなって肩を出すのは、年齢の割に肉体美は自信がある証拠だろう。
 どうせならスカートももっと丈の短いものを履いてほしかったところだが、膝下まであるストライプ柄の長いタイトスカートはいかにも奥様然としており、熟女ラヴァーにはたまらくそそる出で立ちと言えた。
 食後のアフターヌーンティーを楽しみ、お仕事事情などかなり突っ込んだ話を聞き、取材としては十分な情報が引き出せた。
「芸能界の底辺・小規模プロダクション実情とは!」なんて感じで記事が作れそうだ。
 だがもう少し、下卑た読者を喜ばせる味つけも欲しいところと、俺はそんなふうに舵を切ってみた。
「ほら、仕事取るためには、偉い人と寝たり……なんて話、よく聞くじゃないですか。実際そういうことってあるのかなぁって」
 突然そんな話題を持ち出され、宏美は笑い出した。
「ヤダぁ、うちみたいな小規模なとこで、そんな身体張ってまで取るようなお仕事って、ないですよ」
「やっぱ大きいプロダクションだけかなあ、そういうことがあるのは」
「でも……」
 宏美は声を落とし、辺りを憚るように見回した。
「事務所の内部で、そういう色恋絡みの贔屓みたいなのは、ない訳じゃないんですよ……」
「面白そうな話じゃないですか。詳しくお願いしますよ」
 釣り込まれて耳をすませる俺と宏美の距離がぐっと近くなった。
 眉の濃さが、下の毛の濃さも連想させて扇情的な顔立ちである。
 常に微笑をたたえたような眼元も、情事を終えたエクスタシーを匂わせる。この人こそ、枕営業でもしたら売れっ子になるんじゃないか。
 ひと様の下半身事情など、下世話なこととなると誰しも面白がって話の種にしたくなる。宏美もそうしたセンセーションは大好物とみえ、乗りに乗って事務所内部の恥部を教えてくれた。
 無名のエキストラたちのスキャンダルなど記事のネタにはなりそうもなかった。しかし雑談として大いには盛り上がれる内容だ。
 売れない劇団員でちょっとルックスのいい娘が、マネージャーと怪しい関係にあるとか、所属者の中で密かに不倫があるとか、宏美は面白がって教えてくれた。
「他の人のことみたいに言ってますけど、まさか真壁さん自身じゃないですよね? その不倫してるっての……」
「そんな訳ないですよぉ」
 笑い飛ばされた。ピンクな方向に傾いた話を、宏美個人に引き寄せるべく、さらに俺は喰い下がった。
「ですよね。そんなふしだらな人には見えないもんなあ。……でも、それだけ綺麗だと、変な誘惑とかされませんか?」
「こんなおばさん、誰か誘惑するのよぉ」
 口調がくだけてきたのは良い傾向だ。
「えっと、失礼ですけど、四十歳でしたっけ。CMに年齢出てましたけど」
「ヤダ、恥ずかしい。あれ去年の撮影だから、今もう四十一よ」
 宏美はちょっぴり頬を赤くしていた。いやいや最高の味わいになった食べ頃の熟れ具合じゃないですか、という言葉を呑み込み、ソフトに言い換えてやる。
「その年齢だからこその、大人の魅力が満ち溢れてると思いますけど。だって現に俺がこうしてファンになってますし」
「そういうもんかしら?」
「自信持っていいですよ! 真壁さんから若い男誘惑したら絶対ホイホイ釣れますって」
「しないから〜」
 女は褒めそやされおだてられるとますます光り輝くものである。この会話をするうちにも、宏美の肌艶が心なしか良くなったように見えた。
「なら、俺から誘惑してもいいですか? 今からエッチしましょう」
 単刀直入すぎる言葉を俺は投げかけた。
 あまりにストレートな言い方をされ、宏美は眼を丸くして固まっていた。
 俺は畳みかけるように、卓上にある手を握った。
「あなたが欲しいんです」


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