みどり-21
「これを見てみ」
「何それ」
「素人の投稿した写真を集めた雑誌なんだ」
「うわー、凄い。これやらせじゃなくて本当にやってるの？」
其処には街中を荒縄で縛られたまま歩いている女性が写っていた。裸ではないが、褌のように股間に縄を通している為ミニスカートはまくれ上がっていて下着は丸見えだし、何より服の上からとは言え、ぐるぐると体を縛られ、股間にまで縄を通された格好の女性が人混みの中を歩いているのである。通行人は目の所を墨で塗りつぶされているが皆その女性をびっくりしたように見つめているのが分かる。
「凄い」
「凄いだろ。信じらんないよな。俺達も結構やってるつもりだけど、こんなのには叶わないなあ」
「今にこんなのやろうと思ってるの？」
「思ってない」
「良かった」
「それはちょっとやり過ぎだよ、いくらなんでも」
「この人うつむいて歩いてるけど恥ずかしいからかな。それとも感じてるのかしら？」
「どうだろ。恥ずかしいは勿論恥ずかしいだろうけど、感じてもいるのかな」
「怖いわねえ、こんなことやって感じるなんて」
「そうだなー。それで感じるんだったら、もう普通のことやってちゃ全然感じなくなっちゃうんだろうな」
「その内裸で縛られて歩くようになるのかしら、この人」
「そんなことしたら警察に捕まるだろ」
「そうねえ」
「これも凄いだろ」
それは今のとは別の女性だが新幹線らしい車内に座った女性がスカートを巻くって見せていた。
「な？ 別に夜尿症じゃなくたって、こういう風に女にオムツさせて楽しんでる男っているんだぜ」
「本当ね、驚いた。陽ちゃんだけじゃないんだ」
「ああ。写真じゃ分からないけど、この中にはパールローターってバイブをクリトリスの上に貼り付けてあるし、浣腸もしてあるんだって書いてあるぞ」
「それでオムツの中にしちゃうの？」
「そうだろ。その為にオムツしてんだと思うよ」
「音とか匂いとかどうするんだろ」
「さあ。しらばっくれんじゃないのかな」
「凄いわねえ」
「ああ。でもこれならやってみたいと思うだろ」
「思わない」
「そうか？ 俺はちょっとやってみたい気がするな」
「パールローターだけにして、お願いだから」
「それじゃパールローターとゴムのパンツでやってみようか？」
「え？ やっぱりやるの？」
「１回やってみよう。どんなに面白いか実験したい」
「これみたいに電車の中で？」
「ああ、これは新幹線だろう」
「その為に新幹線に乗るの？」
「２人でお前の母さんに会いに行くだろ？ そん時にやってみよう」
「ビショビショに濡れてるのに知らん顔してお母さんに会うの？ 恥ずかしいなあ」
「いいじゃないか。結婚しますって言いに行くんだから」
「そんな厭らしいことしてるなんて知れたら死ぬほど恥ずかしい」
「知れる訳無いだろ」
「そうだけど」
「でも超ミニだから見えちゃうかもな」
「えー、厭だ」
「見えたってパールローターなんか分からないよ」
「ゴムのパンツ穿いてるってだけで死ぬ程恥ずかしいのに」
「ゴムのパンツ見つかったら病気が進んで昼間もおねしょするようになったからだって言えばいい」
「厭だ。いくら何でも昼間おねしょする訳無いよ」
「それじゃガードルなんだって言えばいい」
「そんなあ。お母さんだって女だもん、ガードルくらい知ってるよ」
「だから最近のはこういうんだって言えばいい」
「それで信じてくれるかな」
「ああ、まさかゴムのパンツ穿いて喜ぶ人間がいるなんて知らないだろ」
「そうかな」