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魔へと溺れユく女タチ
【ファンタジー 官能小説】

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シャリィ・レアリル-4

街へ戻るのは一週間ぶりくらいだろうか。
悪魔が何を考え、何故一時的にでも私たちを解放したのかは分からない。


とはいえ、街へ戻ったからといって何をどうすれば良いのかも分からない。
下手に応援を呼んでも被害が増えそうだし、悪魔も何かしらの対処をしているから私たちを自由にしたのだろう。
けれど何も行動しなければ解決もしない。
直ぐに助けて貰うのが無理でも冒険者や教会に報告だけでもして現状を知ってもらうのが良いかも。


それと・・・悪魔の事とは別に私は今、非常に困った事に直面している。
城から出て、徒歩で街へと向かっているのだが私は一人じゃない。
悪魔の言っていた通り、エリザも一緒だ。

今からなら夕方までには街へとつくだろう。
けれど・・・なんて顔をしながらエリザと歩けば良いのだ。
私もエリザも服装は味気ない質素なシャツにチェック柄のロングスカートといった、村娘らしいシンプルな格好。
本来は冒険者だけどもこの格好では普通の村娘にしか見えない。

ちょっと変わった所があるとすればエリザの右腕。
悪魔に渡されたアクセサリーだとかで黒曜石か何かで出来た綺麗な黒の腕輪がある。
それ以外は普通。

城から離れしばらく時間がたったが二人とも無言のまま歩いていた。


どうしようもなく空気が重くて私はついため息をついてしまった。
そこでようやっと沈黙が破られる。



「大丈夫、シャリィ?」

「え・・・うん、大丈夫」

「歩くペース早かったら言ってよ。先は長いし休みながらの移動でも良いからさ」

「あ・・・」



冒険中、エリザとよく交わした言葉だった。
エリザは歩くのが速いけども私は歩くのが遅くて。
冒険者として最低限の体力はあるつもりだけどもエリザには何度もこうやって気遣われていたのだ。

色々と、狂ってしまったけれども。
狂った環境に身を置くことになってしまったけども。

目の前にいるのは私の知るエリザだった。
前と変わらず、私を気遣ってくれるいつものエリザだ。
そんなエリザを見ていると城での出来事が夢だったんじゃないかと思えてしまう。

アレが悪夢なんかではなく現実だというのは自分が一番よく分かっているはずなのに、愚かな発言をしてしまった。



「エリザは・・・城での生活はどう思う?」

「すっごく幸せ!早く帰ってご主人様たちに可愛がってほしいなぁ」

「・・・・・・・・・」



エリザはキラキラと顔を輝かせて。
冒険中に宝箱や素敵な景色を見つけた時のように・・・いや、それ以上に楽しそうに幸せそうに私の質問に返事をしていた。

・・・目の前にいるのはエリザだ。
けれど私の知るエリザではなくなってしまった。
何故そこまで変わってしまったのだろう。

エリザだけじゃない。他の女性達も。
性行為が気持ち良いのは認めよう。
私もエリザとするなら。エリザの事を想うのならとても幸せな気持ちになる。

けれど悪魔や魔物に抱かれて何が嬉しいのか。
それに人間の生活は性欲だけでは本来満たされない。
他にも色んな楽しいことが沢山あるはずなのに。
どうして私以外の皆が皆、性欲に溺れ城での生活を満喫しているのだろう。



「エリザ。あの、さ・・・」

「ん?どうしたの?」



エリザに何か質問しようとして言葉に詰まってしまった。
何を聞けばいいのだろう。
何をすれば元のエリザに戻ってくれるのだろう。

何も思いつかず、自分から口を開いたというのに無言のまま時間だけが過ぎていく。



「何でも、ない・・・」

「そう?変なの」



変なのはエリザ達だ。
そう思ったけどもそれすら口にできなかった。
ほんの一週間前までお互い思った事を考えなしに口にできるほど気の知れた仲だったというのに。
それで口論や意見の食い違いがあっても直ぐに仲直りできる素晴らしい関係だったのに。

今のエリザの事が、私には分からない。


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