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June bride
【純愛 恋愛小説】

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第7章 June bride-2

さっき歩いたバージンロード。私が大事そうに抱えていたのはパパの遺影ではない。私の中に生きるパパの姿。私は確かに大好きなパパとバージンロードを歩いたのだ。

披露宴の時にスピーチした通り、周りから見れば父親のいない母子家庭かも知れないが、私は自分を父親のいない子供だなんて今まで思った事はない。だって私にはあなたと言う素敵なパパがいるんだから。あなたは一緒私のパパ。それが生きているか、そうでないかなんて関係ない事。あなたは私のパパとして私を産んでくれ、そしてたくさんの愛情を注いでくれた。私の場合は12年間と言う短い間ではあったが、パパが生涯をかけて私を愛してくれた事には違いない。ネモフィラ、コキア、動物園、クリスマス、そして桜。パパは私に色んな場所に連れて行ってくれ、多くの喜びを与えてくれ、様々な事を教えてくれた。私のパパは世界一のパパだ、いつまでも私を愛してくれている、パパは私の心の中でずっと生きている、私はスピーチで堂々とそう言った。

結婚式はみんなに祝福され幸せ一色のものになった。私のウェディングドレスを見た友達がネモフィラみたいで綺麗だねと言ってくれたのは私にとって最高の褒め言葉だった。桜のピンクも好きだけど、私が好きな色はパパと見たあの美しいネモフィラのような水色。ピンクの飾り付けの演出は全てのこの水色のネモフィラのようなドレスを引き立たせるためだった。このウェディングドレスを見てからずっと、ネモフィラのソフトクリームの味が私を包み込んでいた。

お母さんはパパが亡くなってから母親の役割はもちろん、父親の役割までしてくれた強い母親だ。私の事を手のかからないいい子だったと言ってくれたが、実際はいい子と一言で言う程簡単ではなかった筈だ。私もお母さんに迷惑がかからないよう努めて来たつもりだが、自分の気付いていない苦労は絶対にかけた筈である。ただお母さんに反抗した事がないのだけは胸を張って言える。私はいつもお母さんのような母親になりたい、そう思って生きてきた。近い将来、私が母親になった時、苦労を苦労と思わない強い母親になれるかどうか不安だが、きっとお母さんに子育ての愚痴を言った時に、あなたもそうだったのよと言われ頭を掻く事になるだろう。それが命の繋ぎだと思う。自分が母親になった時、初めてお母さんの気持ちが分かる事だろう。

私が彼に感じた直感…、それは彼にどことなくパパの雰囲気を感じたからだ。特に笑顔。彼の笑顔はパパと同じだ。優しいところもそっくり。出会ったその日に結ばれた私の判断は間違っていなかった。彼といると安心出来る。まるでパパに守られているような気がする。私はいい人を選んだと思う。

あ、もう彼ではない…旦那様なんだね。私はこの人とお母さんとパパのようにいつまでも温かい家庭を築いて行きます。


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