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June bride
【純愛 恋愛小説】

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第7章 June bride-1

6月17日、私はとうとうずっと夢見て来た6月の花嫁になる。私達はこの日に向けて一生懸命準備してきた。手作りで出来る事は手作りで頑張り、桜が大好きな私の意見を取り入れてピンク基調の披露宴式場にした。曲もその場面その場面を考え悩みながら選曲した。私達にとって大切な結婚式。彼は私のしたい結婚式に出来るだけ沿おうと一生懸命努力してくれた。

チャペル形式で行われた結婚式。バージンロードも桜の花びらをイメージしたピンク色を選んだ。あのさくら湖の桜の花道のように。このバージンロードをあなたと歩くのが夢だった。ようやくその夢が叶った。私は胸がいっぱいになった。大好きな笑みを浮かべながら私と一緒に歩いてくれた。私の腕の中であなたはその微笑みを浮かべながら、前を向いて…。

パパは私が小学6年生の時に死んだ。
癌だった。桜が散った頃、あなたは1ヶ月海外出張に行くと言って家を出て行った。1ヶ月もあなたに会えないなんて、その頃の私からすれば永遠の別れと一緒であった。毎日電話したっけ。今そっちは何時?どんなとこ?寒くない?なんて色々聞いたよね。私は帰ってくるのが待ち遠しくてカレンダーにバツをつけて、丸をつけた帰ってくる日を心待ちにしてた。

でもあなたが行ったのは海外ではなく病院だった。あなたは時差なんてある訳ないのに、今そっちは何時と私に聞かれて答えてたんだね。ゴメンね?入院した時にはもう体調が悪くて電話するのも辛かった状態だったと聞いた。それなのにいつも通り大好きな声を私に届けてくれたんだね。あなたが苦しんでいる事も分からず、会いたい、早く帰って来てと毎日毎日言ってしまった私、物凄く後悔してる。今でも。

パパが亡くなってから、お母さんから本当の事を聞いて、私は悲しくて仕方がなかった。あなたは末期癌だった。ずっと入院して治療を受けても生きる確率は少なかったと聞いた。あなたは一日でも長く生きるべく辛い闘病の日々を送っていた。
でもあなたはある時、退院した。ある時とは私がカレンダーに丸をつけていた日だった。その日に約束通り、あなたは海外出張から帰って来た。

あなたは続けて入院し治療を続ける事を病院から強く勧められた。でもあなたは退院した。それは残された人生をベッドの上ではなく家族と一緒に過ごしたいと強く望んだからだとお母さんから聞いた。私との思い出を少しでも多く作りたい、そう言ってくれたそうだ。パパはそれから1ヶ月の間、普通に会社に行くふりをして、病院に行き治療を受け、普段通りに会社から帰って来たふりをした。私は何も疑わなかった。海外出張に行きパパと会えなかった1ヶ月間の寂しさを埋めるかのようにあなたにぴったりとひっつき、いっぱい甘えてた。


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