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狂少女
【犯罪 推理小説】

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-2

突然の雨、木花はずぶ濡れになりながら帰宅した。
女性従業員は、バスタオルを木花に渡し

『木花ちゃん、風邪ひくから先にお風呂入ってくるといいわ』

『・・・はい・・・』

木花はバスタオルを首にかけたまま浴室に向かった。

施設内の人達は、木花が人を殺してる事など知るよしもない・・・
彼女が背負った闇は、母親は木花が生まれてすぐ姿を消し、父親は研究者だった。
木花が施設に来たのは5年前、父親が何者かに殺されてすぐの事、顔の傷は父親を殺した何者かに切りつけられた。
5年前の夏、その日は大雨だった夜、顔面血だらけでヌイグルミを抱き抱え、ずぶ濡れになりながら施設の出入り口の前に無表情で立っていた。
木花の父親は何で殺されたかは解らない、その当時木花はまだ5歳だった。
解っているのは、その何者かが父親を木花の前で残忍な方法で殺した事、それから彼女の中で何かが変わり、目覚め、木花は護身術を習うようになった。
そしてヌイグルミを創る事で人を避けた。何故ヌイグルミが動くのか?
それは誰にも解らない・・・
木花がいつも目に浮かぶのは変わり果てた父親の姿・・・

風呂から上がり食事を済ませ木花は部屋に戻り、またヌイグルミを創り始めた。

『今日もアイツ・・・ずっとアタイを見てた・・・』

十文字の傷跡をゆっくりなぞりながら呟いた・・・
その時、木花の部屋のドアをノックする音が聞こえた。
ドアの向こうから聞こえてくる男性の声・・・

『木花ちゃん、俺・・・拓也・・・』

木花はため息をつきながら少しだけドアを開け・・・

『・・・何?今忙しいんだ・・・』

『あっ・・・ごめん、少しだけ話できたらなって思ってさっ』

拓也はペットボトルのジュースを2本木花に見せ笑みを見せた。
木花はそのまま拓也に背を向け机に向かうと・・・

『入ったら・・・鍵も閉めて・・・』

『ありがとう、お邪魔しますっ』

拓也はゆっくり部屋に入ると木花が創ったヌイグルミの数に驚いた。

『・・・木花ちゃん凄いね!これみんな木花ちゃんが創ったんだぁ』

『・・・』

『才能だよねっ尊敬しちゃうよマジで』

『・・・話って?』

『ハハっ普通の冗談まじりの会話をしたかったんだ』

木花は手を止め、拓也の方を呆れた顔で見つめた。
何せ、ほとんど施設の人達とはマトモな会話をしたことがない・・・

彼の名前は松本拓也18歳、数年前に母親に暴力をふるい続ける父親を拓也は母親を助けるため包丁で父親を刺し殺し少年院に入れられる、そして少年院を出てから今の施設で生活している・・・


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