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ハツミ
【OL/お姉さん 官能小説】

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ハツミ 〜3rd story〜-1

『はっ、んっ、んん。』
私達はどちらからともなく唇を求めあった。唇を触れあわせるだけでは足りず、舌を探り合い、歯が当たりそうなほどの深い深いキスをする。

唇を重ねてどれ位の時間が経っただろうか。
私が呼吸を求める様にトモキの唇から唇を離すと、離れる事を惜しむかの様に互いの唇から糸が引く。

トモキは目を細めて私を見つめていた。
そして私を軽々と抱き上げるとバスタブへと足を踏み入れる。
一見細身にも見えるトモキの体に意外な程のたくましさを感じた。
ゆっくりとトモキが腰を降ろすと、バスタブに張った暖かなお湯が彼と私の体を包んだ。
「ハツミ…。」
その声と共に、トモキの私を抱く腕に更に力が加わったのを私は感じた。
『どうしたの?トモキ??』
愛しかった。
私を見つめる瞳も、私を呼ぶ声も、私を抱きしめるこの腕も、トモキの存在を示す全ての物が愛おしい。
永遠に、いつまでもこのままトモキの腕の中に抱かれていたい、心からそう願った。
「ハツミ…。」
再び愛しい声が私の名前を呼び、声を発した唇がキスをする。
私はキスに応じ、トモキの口内をくまなく舌で探った。触れ合う唇の合間からは、自分ではどうすることも出来ない熱に侵された吐息が漏れる。
体が熱かった。
湯の暖かさとは別の熱が、私の体を支配している。
きっと私のこの熱りを鎮める事が出来るのは、トモキだけだろう。
何故なら、私はトモキに確かな好意を抱いているから…。
その好意には紛れもなく愛という感情がが含まれている。


――トモキと初めて出会った時は、まさかこんな気持ちを抱くとは思ってもみなかった。

しかし、彼と過ごした短い時間の中で私はどんどんトモキに惹かれていった。
素直に肌を重ねる事を許せたのも彼だからこそだろう。
そして体を求めあった後、私に残ったのはトモキを心から愛しいと想う気持ちだった。
その気持ちは、体を欲した一時の欲望ではなく、これからの時を共に過ごしたいとう願いだ。
その願いを現実のものにするべく、私はトモキのジャケットにメモを残した。彼が無事にジャケットのポケットに入っているメモに気付いてくれるかは賭けのような物だろう。
メモに携帯の番号と共に書き記した
―Be safely found ―
―of this memo.―
の文字には私の願いがこもっていた。

―このメモが無事に見つかりますように―
―そしてメモを手にしたトモキが、また私に会いたいと感じてくれますように―
と。


そして数日間、ずっと待っていたトモキの声を留守電で聴いた時は、つい嬉しさに顔が綻んだ。
こんなに心踊った食事への誘いは初めてかも知れない。
すぐさまトモキへと電話をかけた私は、翌日の仕事は夕方までと言う彼の夜の時間を独占する約束を取りつけた。
トモキと一体どんな時間を過ごそうか、そう考えるだけで表情は自然と笑顔になった。
これが恋なのだろうか、こんな気持ちはずっと忘れていた気がする。

考えた末、私はトモキを自分の部屋へ招く事にした。
レストランの料理に味は劣るかも知れないが、心のこもった暖かい手料理と、お気に入りのワインで彼をもてなそう。
そして、食事の後はゆっくりと会話を交して彼の事をたくさん知ろう…。


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