昨晩のこと (6) 夫には言えない秘密-1
「ゆきさん、またしちゃいましたね」
「知らない……」
「まさかゆきさんがあんなことするなんて」
「なんにもしてないし……」
こんな甘ったれた口調で強がりを言っても説得力がない。
「自分からお尻振っててすごく可愛かったです」
「……んん……そういうこと言わないで……ん……」
キスでZの口を塞ぐ。
「何もしてないですよね」
「何もしてないよ」
乳首を弄り合う二人。
湿ったキス。
ピチャピチャと唾液を絡め合う音。
Zがゆきを抱きかかえて身体を起こし、対面座位でキスを続ける。
ゆきの乳房を手のひらに包んで揉みしだくZ。
形のよい膨らみがいやらしく変形する。
指先で先端の突起を刺激すると、ゆきの尻がいやらしくくねりはじめる。
Zもゆきにあわせてゆっくりと腰を動かす。
腰の動きがせわしなく余裕のないものに変化していくゆきとZ。
二人で協力して一緒にもっと気持ちよくなりたい、そんな思いが伝わってくる。
Zが激しくペニスを突き上げるとゆきはZにしがみついて与えられる快感を全身で受け止める。
Zの動きが止まると今度はゆきが尻を押し付けくねらせてZの上ではしたない上下動をはじめる。
そうやって交互に動くことでゆきとZの性器は休むことなく擦れ合い二人の間には性的な快楽と興奮がとめどなく溢れ続けた。
「気持ちいいね……」
「うん、気持ちいい……」
抱きしめ合い口を大きく開いて唾液を交換するゆきとZ。
「旦那さんとのセックスとどっちが気持ちいいですか？」
ベタなことを聞いてくるZ。答えはわかりきっているくせに。
Zには私が短小早漏でゆきをイカせたことが一度もないことだって伝えている。
「……答えなきゃだめ？」
「うん、だめ」
Zがゆきにキスする。
「私パパの奥さんなんだよ？」
お返しのようにゆきもZにチュッとキスする。
「だと言えない？」
「恥ずかしいよ」
「それでも言うの」
Zがすこしペニスを突き上げただけで「あん……！」と体を硬直させ眉間に皺を寄せるゆき。
「そんなんされたら言えないよ……」
Zにしがみついて今度はゆきからキス。
38歳の人妻が身も心も若い男に夢中になっている。
普通なら痛々しさを伴うシーンが、せいぜい20代後半にしか見えないゆきだとまったく違和感がない。
腹立たしいほどお似合いの美男美女のセックス。
そんな二人が不倫カップルのような会話をしている。
自信満々にふたたび尋ねるZ。
「俺とOさんのチンポ、どっちが気持ちいいか教えて？」
Zの指先がゆきの乳房の先端を弄ぶ。
「あぁ、だめ……気持ちよくなっちゃう……」
両手のひらで左右両方の乳首を同時に転がされているゆき。
「……あぁ……あああ……」
自然と尻を前後に動かしてしまう。むっちりした尻が男の膝の上であやしく揺れる。
「ああ、ゆきさんエッチだよ。さあ教えて」
尻をゆったり動かしてZのペニスをじっくり味わっている。
またZにキス。もうすべてが恋人に対する仕草だ。
「言うの？」
「うん」
「本当のこと？」
「はい」
「あのね」
潤んだ目でZを見つめるゆき。
「うん」
「パパとのエッチが一番気持ちいい」
ポカンとするZ。そして私。
「ふふ、びっくりした顔してる」
「そ、そんなこと……」
「嘘だよ」
「え？」
「Zくんとのほうが気持ちいいに決まってるでしょ？」
今度はゆきがZの乳首を手のひらで転がす。
「Zくん自信満々だったからいじわる言いたくなっちゃった」
「くそー、今日は俺ゆきさんに振り回されっぱなしだ。ていうかゆきさん、それ気持ちいい……」
「いちおう奥さんとしてフォローしておくと、パパとのエッチは気持ちいいっていうか満たされる感じかな」
「なんとなくわかります。ゆきさん、Oさんとラブラブだもんね」
Zも真似してゆきの乳首を手のひらで優しく撫でる。
「そう見え……る？……ぁん……！」
「見えますね」
「ん……嬉しい……ぁぁあ……おっぱい気持ちよくなっちゃう……」
ゆきの下半身がくねくねいやらしく動き出す。
「嬉しいって素直に言えるゆきさん、素敵ですよ」
「なにそれ……もう……えらそーに……あぁ……あぁん……！！」
憎まれ口をたたきながらもZと唇を重ねるゆき。
私への愛を語りながら他の男と交わすキスはどんな味なのだろうか。
「んん……ん……んぁ……ちゅぅ……んん……ちゅぅ……じゅる……じゅる……」
上半身は乳首を刺激しあい、下半身は女性の身体の深いところで性器を擦りつけあう。
しばし無言で、濃厚な騎乗位に没頭するゆきとZ。
ゆきの女の声と、ニチャニチャと粘り気のある音だけが深夜の我が家に響く。