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June bride
【純愛 恋愛小説】

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第6章 桜-2

手を繋ぎさくら湖を散歩する。途中チューリップがたくさん植えられた花壇があった。桜が散れば次の主役のチューリップ。しかし今の主役はさくらだと分かっているかのように、控えめに咲いている気がする。私もそんな空気の読める人間になりたいな、そう思った。

カップルは体を寄せ合い同じ桜を見て幸せそうな笑みを浮かべている。子供連れの親達は、美しい桜と走り回る子供を忙しそうに見ている。言う事を聞かない子供に親がキレ気味に叫ぶ声も聞こえる。しかしそんな声も桜の雰囲気に柔らかく包まれてしまう。

ベンチに座り暖かい春の日差しを受け、美しい光景を見ながらあなたは言った。
「春は別れの季節であり、新たな出会いの季節でもあるんだ。桜とはそろそろお別れだけど、でもまた来年になれば会えるよね。きっと来年は更に綺麗に桜は咲く事だろう。だからみーちゃんも来年会った時には去年よりも成長したねって言われるように毎日を生きなきゃダメだよ?」
と。

私は一年後、あなたに綺麗になったね、成長したねって言って貰える自信がなかった。私はその自信なさげな気持ちを表したかのような、うん、と言う返事をした。しかし自信はなかったが、そんな自分になりたいなと言う希望は持った。散ってもなお輝き続ける、そんな桜のような人間になりたい…、私はそう思った。

この時あなたは一体どんな気持ちで私にそう言ってくれたのだろう。咲き誇る桜を見上げて微笑む私と、散りゆく花びらを見つめ切なそうに微笑むあなた。そんなあなたの微笑を思い出すと、私はいつも胸が締め付けられてしまう…。


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