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亜美
【SM 官能小説】

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亜美-9

 「どうしたの? 驚いて手が止まっちゃったの?」
 「いえ、こんなのを撮っていいのかと思いまして」
 「どうして? 先生は撮ってもいいということで縛って下さったのよ」
 「はあ、でも撮っても雑誌に載せられないと思って」
 「そんなことはあんたが決めることじゃない。いいから撮りなさい」
 「はい」
 「あの、撮った写真は1部で結構ですから一通り全部頂戴したいんですが」
 「あ、それは勿論です」
 「それじゃ、どうぞ遠慮なく撮って下さい。此処のめり込んでる所なんかドアップで撮って下さい。こいつが喜びますから」
 「はい」

 奥さんは、しかし目を瞑って何の反応も示さない。こいつが喜ぶと言うが、本当は男の方が喜んでるだけではないのだろうか。しかしそれはどうでもいいことである。ふと奥さんの顔に注目すると、うっとりしているような表情だった。しかしファインダー越しにジッと見ていると、うっとりしているのか我慢しているのか分からなくなった。ロープの埋没した股間など本当にドアップで撮って欲しいと思っているのだろうか。そんなことを喜ぶ女なんているのだろうか。しかし誠司は仕事だから黙ってその部分のアップも沢山撮った。撮影が一通り終わると縄師は、
 「今研究中の縛り方なんでうまくいくかどうか分からないけど、空中安楽椅子と名付けた縛りをやってみます」
 と言って一旦全部のロープを解いてから再び奥さんの体を縛り始めた。
 それから部屋の隅にあった踏み台を持ってくると天井の環にロープを通した。そんな所に環があったのには気が付かなかったが、良く見ると滑車までいくつか天井に付いている。環に通したロープを滑車にかけると梃子か何かの原理で軽くなるようで、縄師がロープを下に引き始めると縛られた奥さんの体がゆっくりと空中に持ち上がっていった。それから仕上げに脚の部分を更に縛り、出来上がった図はなるほど名付けた通り空中にある目に見えない安楽椅子に寄りかかっているような姿になった。但し、脚は左右に大きく開いているし、今度は股間にロープを通していないので開いた性器は奥まで見える。

 「これはポーズとしては私のオリジナルと言うほど珍しい縛り方では無いんですが、縄に懸かる体重を上手く分散して、且つ、背中と頭の後ろに重さを支えるように縄を何本も通してあります。 そこが私の工夫なんですけど、その結果何処も痛くないし、無理が無いから何時間でもこのまま放っておけるんです。つまり縛られた方にとっては非常に楽な縛り方になってまして、あたかも空中にある安楽椅子に腰掛けてるような案配ですな。こういうのはふわふわしてとらえ所が無いもんですから、姿勢は安定しているのに吊られた当人は雲の上に浮かんだような奇妙な違和感を感じるもんなんです」
 「一種の恐怖感ですか?」
 「そうです。しかしそれが縛りの好きな女性に取っては堪らない所なんで、恐怖感というより一種の縄酔いと言うような酩酊感を与えるんですな。良く分かるように脚を精一杯拡げて縛りましたから、股間を良く見てやって下さい。このまま放置しておくだけで勝手に感じて濡れて来ますから。1時間も放っておけばポタポタ垂れてくる程ですよ。今日は見物人がいるからもっと早く垂れて来るかも知れない」

 奥さんは空中に脚を拡げてこちら向きに座っているのだから、丁度股間の辺りが誠司らの目の前に来る感じで、見てやって下さいなどと言われなくとも自然に視線は股間の開かれた性器に行ってしまう。そして勝手に濡れて来ますよなどと言う前から既に大分潤っているのが誠司にははっきりと見て取れた。縛られて感じる女性というのも実際いるもんなのだなと思って感心しながら見ていたのである。



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