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亜美
【SM 官能小説】

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亜美-4

 「おう、早いな」
 「え?」
 誠司は皮肉を言われたのかと思って思わず水田の顔を見たが別に皮肉っている訳ではないようだった。

 「まあ3時頃までは誰も出て来んからそこらにある雑誌を見てうちで作ってる雑誌がどんなもんか研究してくれ。SMだのフェチだのと10把ひとからげにして世間では変態の一語で片づけてしまうんだが、色眼鏡を外して見るってえとこれがなかなか奥が深くてね。例えばうんこ1つ取ってみても好みは各人各様で実に多彩なんだ」
 水田は食事中だというのに平気でうんこの話をする。

 「固くて自然に出てくるようなうんこを好む人もいるんだ。丁度このフランクフルト・ソーセージみたいな奴だな。そうかと思うとこれ、この春雨みたいな奴を好む人もいる」
 そう言って水田は春雨とその上に乗っているマヨネーズをぐちょぐちょにかき混ぜた。

 「大体浣腸するとこんな感じのうんこになって出て来るな。好みの違いは、うんこの形態だけじゃないぞ。女にうんこを出させてそれだけで満足してしまう奴もいれば、出てきたうんこを女の体に塗りつけたり食べさせたりする奴もいるんだ。信じられるか? まあ今に厭でも信じるさ。それから中には自分も一緒になって浣腸してうんこ垂れて喜ぶ奴もいれば、女に浣腸するのは良くても自分が浣腸するのは絶対に厭だという男もいる。まあ、うんこ関係のプレイを総称してスカトロと言っておるんだが、一口にスカトロと言ってもそんな具合に好みは様々なんだ」
 「はあ」
 「で、中田君はどんなスカトロが好きかね?」
 「は? どんなって言われましても」
 「ハッハッハ、冗談だよ。昨日君を頻りにからかっておった石井君な。彼は最初の仕事がスカトロの取材だったんだ。それもちょっと激しい奴だったんで、彼は現場で戻してその後3日間食事が出来なかった。それでゲッソリ痩せてしまったという経験の持ち主だ」
 「ちょっと激しいというのは何ですか?」
 「男が女に大量の浣腸をするんだ。その後1本のビニール・チューブの両端をお互いの肛門に挿入したんだな。太くて透明なビニール・チューブなんだ。それでビニール・チューブで尻を繋げたまま2人はセックスを始めた。するとどうなると思う?」
 「さあ? どうなるんでしょう?」
 「女は浣腸されたんだから当然うんこを出すわなあ。出せばチューブを通って男の体の中に入って行くんだわ。何が入っていくかは分かるだろ? 女のうんこだけじゃないぞ。女の体に入れた大量の浣腸液も一緒に入って行くんだわさ。すると今度は男が浣腸されたのと同じ事だ。浣腸液とうんこのミックス浣腸だからこれは効くぞ。暫くすると男がうんこをしたくなる。で、入ってきた女のうんこと自分のうんこと大量の薬液を女の体に送り返すっていう寸法だ。実にアバンギャルドだと思わないか?」
 「さあ、ちょっとイメージが湧かなくて」
 「そうか。そのうんこの往復が、透明のビニール・チューブだから良く見えるんだよ。うんこの2乗プラス・アルファの移動だな。分かり易く言えば、2人のうんこが混ざり合って大量の薬液の中を泳ぎながらあっちへ行ったりこっちへ行ったりする訳なんだ。その間2人は上になったり下になったりじっとしたり激しく動いたり、ロングランでセックスしてるんだ。実に奇抜なことを考える奴がおるもんなんだ、この世の中っていうのは。そうは思わないか?」
 「そうですね」
 「だろ? まあしかし、考えるだけでなくそれを実行してしまう所が常人の理解を遙かに超えているな。そうは思わないか?」
 「そうですね」
 「それで石井君は珍しいものを見たから、ただただ驚いていた。それはそうだ、話を聞いただけの俺だって驚いたもんな。石井君は仕事熱心だから健気にも透明のチューブの中をうんこが移動する瞬間を撮影しようと思って近づいて行ったんだ。すると何が起こったと思う?」
 「何か起こったんですか?」
 「何も起こらなかった」
 「え?」
 「はじめは何も起こらなかった」
 「はあ」


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