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亜美
【SM 官能小説】

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亜美-21

 「蝶書房の方ですね」
 「はい。編集の赤尾です。こちらは同じく編集の中田です」
 「あ、宜しくお願いします。私は原田でこちらが亜美です」

 男は中年で見るからに品の良さそうな感じであった。女は写真でも美人だったが、実物はもっとずっと美人に見えた。少女が着るような極端なミニのワンピースを着ていて、雰囲気も少女というには少し成熟し過ぎているが、黄色い服がよく似合って可愛らしい。清楚と言うには少し派手だが水商売風ではないし、ましてやSMをやるようにはとても見えない。男がまず記念に蝶書房の社内で写真を撮って欲しいと言うので、丸の内線で会社に行くと、全員出払っているのか鍵が掛かっていた。礼子が鍵を開けて中に入るとホワイト・ボードの名札は全員裏返しになり、赤字の名前になっていた。これは外出する時に自分で名札を裏返すもので、表が黒字で在室中、裏が赤字で外出中の意味である。ちょっと煙草を買いに出たりトイレに行ったりするくらいの時はいちいち裏返しにはしないので黒字でも在室しているとは限らないが、黒字なら程なく戻るということである。石井と山田の名札の下には取材と乱雑に殴り書きがしてあり、水田の名札の下には本社と書いてあった。書かないこともあるが札を裏返す時は一応行き先を書いておく決まりになっている。

 「水田さん、本社に何の用なんでしょう?」
 「新しい雑誌の話よ」
 「新しい雑誌?」
 「でも断ってくるから大丈夫よ」
 「何でですか? 水田さん新しい雑誌の仕事に変わりたくないんですか?」
 「そういう話じゃなくて、此処で3冊目の雑誌を発行しようという話なの」
 「えー?」
 「そうよ、えーなの。今だって手が足りないのにこの上もう1つなんて出来る訳無いでしょ?」
 「そうですね。たった5人しかいないのに」
 「さて、何処で写真撮りましょうか?」
 「いえ、もう結構です」
 「は?」
 「いえ、お2人が本当に雑誌社の方たちなのか確認したかったんです。名刺だけでは信用出来ませんから」
 「はあ」
 「いえ、以前あるカップルと一緒にプレイしたことがあるんですが、その後つきまとわれちゃいまして。それで懲りてしまいまして、もう余程身元のはっきりした方とでないとプレイしないことにしたんです」
 「ああそうですか」
 「あのぉ・・・」
 「何でしょう?」
 「今一緒にプレイと仰いましたけど、出来れば僕達は取材の方に専念させて頂ければ有り難いんですが」
 「ああ、なるほど。それでは気分が乗ったら参加して頂くということで結構です」
 「それは助かります」
 「SM雑誌を作っていても、ご自分がプレイをする趣味は無いんですか?」
 「いえいえ、とんでもない。SMより好きなものはないというくらい大好きなんですが、仕事と趣味を同時にというのは無理がありますから」
 「なるほど。そうかも知れませんね」
 「やる時は取材なんか忘れて楽しみたいし、取材する時は仕事に徹したいですから」

 この時礼子が誠司の靴の上からヒールでいやと言う程踏みつけた。SMプレイの経験なんか無い癖に一人前のことを言うなという意味である。誠司はうっと呻いたが咳をして誤魔化した。
 4人で早速六本木のSMホテルに向かった。ホテルに入ると1番広い部屋にチェックインした。女はミニのワンピースを脱ぐと全裸だった。性器の左右の襞に付けたピアスにはそれぞれ同じ長さの短い金のチェーンが取り付けてあり、垂直に垂れていた。長さから言って多分ブレスレットだろうと思う。服を着ている時には全然気が付かなかったが、恐らくチェーンの下端はミニの裾すれすれくらいまで垂れていたのではないだろうか。何処から新幹線に乗ってきたのか知らないが、女は2本のチェーンを性器からぶら下げて超ミニのワンピース1枚で来た訳で、恐らく出発した時から2人の間では既にプレイが始まっていたのだろう。股間の入れ墨は写真で見たよりも小さい感じだったが、青い影付きの赤い文字で、素人細工では無い。後で近づいて良く見る機会はあるだろうと思った。


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