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June bride
【純愛 恋愛小説】

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第1章 ネモフィラの見える丘-1

休日に、良く行ったよね?海の近くの海浜公園。春にはチューリップや菜の花が咲き、初夏には丘一面に広がるネモフィラ、秋には美しい赤色のコキアが丘を埋め尽くす。時には観覧車に乗ったり、時にはピクニック気分で広い芝生の上でお弁当食べたり。サイクリングしたり。いつも楽しい思い出ばかりだった。

あなたと初めて行ったのは丘一面に、その向こうに見える海よりも柔らかく鮮やかな青色のネモフィラが咲いていた頃。斜面を見上げると、まるでネモフィラの丘がそのまま空まで繋がっているかのように思えて胸がドキドキした。私は両手を胸の前で握り合わせ目をキラキラさせながらその感動的な光景に時間を忘れてしまった。空、海、ネモフィラが一体になった青の世界を、私とあなたは手を繋いで歩いて登って行ったよね?私は何回も写真を撮って貰ったっけ。もう心が踊って仕方なかったよ。丘を登ると鐘があって、私は長い列の後ろに並んで順番が来るのを今か今かと楽しみに待ってた。ふと振り返ると広がる青い世界を見下ろして、私はまた目をキラキラさせたっけ。
「綺麗だね、み〜ちゃん♪」
あなたの声に私は大きく、うん、って答えた。だって本当に綺麗だったから。

やっと順番が来て、私はあなたと一緒に鐘を鳴らしたっけ。力が入りすぎて鐘の音に耳を塞いだ私はあなたに笑われたよね?恥ずかしかったけど、あなたはそっと私の肩を抱いて優しく微笑んでくれた。そしてもう一回青い丘を上から眺めた。風が気持ち良かった。息をしているのかも分からなくなるぐらい、その青い世界に心を奪われた。そんな感動をあなたと共有出来ていたのが嬉しかった。

麓に降り、何度もネモフィラの丘を振り返りながら歩く私を連れて行ってくれてソフトクリームを買ってくれた。ネモフィラのソフトクリーム。私はネモフィラを思い出すと必ずこのソフトクリームの味を思い出すの。あなたと同じソフトクリームを舐めながら目を合わせて意味もなく笑って。ネモフィラの丘を見つめながら私はずっと笑みを浮かべてソフトクリームを舐めてたっけ。

「秋になると今度は真っ赤なコキアが植えられて凄く綺麗なんだよ?」
あなたはそう私に教えてくれた。
「また連れてきてくれる??」
そうお強請りした私に、あなたは優しく、うん、と答えてくれた。あなたは約束通りに秋にまたこの海浜公園に連れてきてくれて、そして今度は秋赤に染まる丘が感動を与えてくれた。またその光景に心を奪われている私にそっと上着をかけてくれた優しさが大好きだった。

あなたはいつでも私に微笑みかけてくれたよね?柔らかく、そして優しく私に微笑みかけてくれる、そう、ネモフィラのような柔らかい笑顔で…。


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