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君と僕との狂騒曲
【ショタ 官能小説】

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君と僕との狂騒曲-31


 君の肩に顎を乗せて、目を閉じた。いくつもの歪んだ夜が空に溶け込んでゆく。僕のまぶたから、泣いてもいないのに涙がぼろぼろ流れた。それに身体が気づいて、嗚咽になって溢れ出してきた。僕を苦しめた何もかもが蒸発してゆく。黒く、どろどろしたものの濁った成分が中和されて美しい涌水に変わってゆく。僕が、僕自身が君を求めていた。君は優しく何度も何度も僕の背中を撫でさすってくれた。

「苦しかったかい?」君の声は優しかった。ドライな君じゃない君がそこにいた。

「俺も」「いろいろとその」君は言いよどんだ。

「寂しかったかも」君のくすくすいう小さな笑い声が聞こえる。

 僕らはテントの中に転がりこんだ。仲の良い兄弟みたいに。きちんとキャラバンシューズを並べて脱いでからね。
               *
 空が群青色に染まっている。明けの明星、LUCIFER。最も高位の天使にして地獄の闇に堕とされる堕天使の総帥。君と僕は闇に堕ちたのか?

 君はほとんど裸で眠っている。産毛が流れる美しい背中が闇の中に浮かんでいた。テントの中はぐちゃぐちゃ。君が目を覚ます前に、僕はテント内を片付けはじめた。君と僕の制服だけはハンガーにかけておいた。理性あるよなあ、俺たち。ふたつのシュラフはテントの屋根に掛けた。砂を掃き出して、衣服は畳んでおく。懐中電灯、暴風ランプ、ベルトにソックスにガーター。僕らのネッカチーフは今では珍しく絹で出来ている。これを出来るだけ細く巻き、何度も振ってとにかく細くするのが約束事だ。

 テントの外へ出て、草地の上に横たわった。空はそのまま宇宙の形をしていた。水を飲みたかったけれど、まだ口の中に残る君の甘さを楽しみたい。身体を拭いたかったけど、草とミルクがないまぜになったこの奇妙な香りをもう少しだけ吸っていたい。
               *
 僕が君自身をくわえたときの幸福感がまだ消えない。裏側に見える細かい血管を舌で感じた時。君にはきっと凄いショックがあっただろう。やりかたは「感情移入」と「ゆらぎ」のセンス。横から、根本まで舌とくちびるが走り抜ける。かと思うと一番感じる裏側の先を舌でくすぐりながら、くちびるで吸い取る。君自身の根本の奥まで指が辿ってゆく。そして緩急自在。あせらないこと。

 君は僕の頭を両手で抱えるけど、そこに力が入っていない。君はただ、何かに掴まっていたかったから。まだ終わってないのに、早くもどくり、どくりという鼓動が伝わってくる。もう駄目だろう。最初は少なく、次にどっと来る。そして排出が始まる。どくり、どくり、どくり。僕の喉を灼く君の精液はものすごく濃くて、しかも凄い量だった。それは僕の喉を流れ落ち、食道を灼き、胃袋まで達するのを僕は感じた。

 終わってもまだ、引きつるように君の射精はにじみでてくる。僕はそれをすすった。

 君の精液は凄く甘かった。それも豊潤な花の匂いがした。

 全てを出したとき、何か意味の分からない言葉を発して、君は震えながらのけぞった。

 君は腕で顔を隠し、胸は42.725kmを走り通したランナーみたいに上下していた。そして呼吸がゆっくりと動くようになると、土の中へめり込むように君からあらゆる緊張がほどけていった。君と僕との開放。


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