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君と僕との狂騒曲
【ショタ 官能小説】

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君と僕との狂騒曲-23


 君と僕は三人用のテントを張り、「スターファイアー」という火をおこし、シュラフにくるまれたまま仲良くテントの外に顔を出し、語り合った。君は僕に英単語や述語を与え、僕がそれに答えた。今でも大学を、それも下手をすると英文科を卒業した連中よりも英単語を覚えているのはその結果だった。君は「プレファクス」というか、エコモロジーに厳格で、なぜそういう言葉がそうなったかまで、懇切丁寧に僕に教えた。

 そのかわり、僕は連立方程式や二次関数を例え話にして教えた。基本になる因数分解は、イコールの壁を超えてシンプルな答えに繋がるやりかたを教えた。

 そして大量の本の話。僕は「その本」がいかにして世界の文学を変えたか、なんていう事を延々と喋ったものだ。飽きもせず。君はいつも、しゃべり上手よりも聞き上手。僕のマシンガンみたいな饒舌(いま、これを読んでいる人は笑わないで)を君は見事に分析し、的を獲た脚注や疑問をさらりと僕に流した。

 しゃべり疲れて眠るとき、ぼくは君より先に眠ることが出来なかった。君の匂いはなんというか、上品なコンディショナーかリンスみたいな清潔な匂いが心をくすぐる。そしてあの、君だけの独特なミルクの匂い。

 君に言わせれば、僕は枯れた麦のような匂いがするそうだ。(これは死んだ僕の奥さんも同じ事を言った)二人とも植物系の人間だったのか?そうだろう。僕らは動物系の汗の匂いとは無縁だった。
               *
 僕らはマイホーム・ヴァレーの最も高い場所を定宿にしていた。そこからの眺めは素晴らしく、日野市の豊田にある巨大団地と商店街が様々な色彩を暗黒のキャンバスに描いていた。ちょっとマーク・ロスコの作品に似ている。

 君は昔から、眠る状態になるとすぐ眠れる便利な男だった。僕が「おやすみ」と言ったときにはもう熟睡している。考えてみると、君は昼間にかなり精神を消耗していたと思う。いつでも優等生じゃなければならないんだから。

 僕は寝る前に、触れるか触れないほど君に小さなキスをした。とたんにはじけた電気に僕はあわてた。なんて言う香り、なんていう柔らかさ、信じられない瑞々しさ。君はやっぱり僕の天使だ。

 そして乱れた髪の毛を梳いてやり、君の寝相の悪さを真っ直ぐにした。君の寝息は凄く穏やかなものだった。君の寝顔は、なんていうか、堪らなかったな。もし、僕が女性で、愛する夫の顔を見つめているとしたら、同じ気分だっただろう。夢が本当になるのなら、僕は君の妻になりたかったな。死ぬまでずっと君を見ているために。君に美味しいご飯を毎日作って上げる。お弁当もね。

 僕は君の姿を見て、突き上げる衝動を抑えることが出来なかった。あっという間に僕の掌は白濁した液にまみれていた。僕は水場に降りて手と顔を洗った。すっごい冷たい。宵の明星が光り輝く。人は何で電気なんか使ってテレビを見るのだろう。空はただでこんなダイナミックな星と雲と満ち欠ける月を上映しているのにね。

 僕は微笑み、君の背中を包むようにして眠った。静かなせせらぎ、穏やかな風が奏でる樹木の葉や枝の囁き。そして小さな君の息づかいの音。そして、うっとりと君のミルクの香りに包まれたゆるやかな眠りに落ちて行く安らぎに感謝した。


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