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【推理 推理小説】

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Story〜夕焼けと2人の高校生〜-7

月曜日
PM6:06
放課後、3人だけになった教室内は沈黙を破る声によって時間を取り戻した。
「話ってなんですか?」
「気付いてんだろう?」
「何にです?」
「俺が気付いたことに」
青治の笑顔が少しだけ歪む。気のせいだったかもしれない。
「……へぇ、流石ですね。やっぱり貴方は頭の回転が速い。」
「まぁな。あんなに単純計算ばっかしてたら嫌でもこうなっちまう。」
「いえ、僕が言っているのは……まぁ、いいです。それよりどこから話します?」
「最初から話して。」
椅子に横に座っていた黄依は、目の前の机に座る里紅に言った。
「青治、言ってもいいのか?」
「えぇ、いいですよ。」
青治のにこにこ顔は少しも変わらない。
「結論から言うと、通り魔事件の犯人は青治。そうだろ?」
里紅は青治を見つめる。
「えぇ、そうです。……あれ?思ったより驚いていないですね、稲荷さん。」
「まぁね。予感はしてた。」
「そうですか。それは残念です。」
言葉とは裏腹に、青治は笑顔のままだ。
「何が?」
黄依は聞き返す。
「いえ、特に理由はないです。」
青治が答える。
「続きを話すぞ?」
「えぇ、どうぞ。」
2人が里紅を見つめる。
「……被害者の額に書いてあった数字についてだけど……。」
里紅は腕組みをして目を瞑る。
「あれは殺された順番じゃなくて、名前を表していたんだ。」
「名前?」
黄依が聞く。
「あぁ。一人目の被害者は真辺 可奈萌だろ?最初の文字の<ま>をアイウエオ順に1文字だけ上にずらすと、<ほ>になる。2人目の被害者は土居 華依だから、最初の文字を同じように2文字だけ上にずらすと、<づ>になって、3人目の森ノ宮 李の<も>を3文字上にずらすと、<み>になる。」
「成程、繋げると<ほづみ>になるってわけね。」
「分かってなかったんですか?」
青治は黄依に目を向けた。
「言ったでしょ、予感って。」
青治の目を見ずに答える。
「そうでしたっけ?」
「まぁ、いいじゃん。それより何で自分の名前を残したの?」
今度は目を見て聞いた。
「何でだと思います?」
青治が聞く。
「……気付いて欲しかったからだろ?」
里紅が青治の目を見て言った。
「えぇ、まぁ、そうです。」
「全員同じ中学出身にしたのも?」
黄依が聞いた。
「いえ、それは違います。」
「じゃあ、何で?」
「名前を知っていたからです。」
「名前?」
「えぇ、名前を知らなければならなかったので。……あれ?怒っちゃいました?」
青治が黄依の顔を覗く。
「いや、別に。どうして?」
黄依は足を組みなおす。
「僕が殺したのは、名前のためだけって言ったので。」
「そんなことじゃ怒らないって。」
「そうですか。……朝月くんは聞きたいことはあります?」
里紅を見る。


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