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シルビア
【青春 恋愛小説】

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シルビア-8

 ビルを出て近くの喫茶店に入ると程なくシルビアも来て、何百年ぶりということは無いが、本当に思い出せない程久しぶりに親子3人揃って外で食事することになった。母はいつも程おどろおどろしい服では無かったがやはり全身黒づくめの極めて人目を惹く服装だった。しかしシルビアが来ると母の服装など殆ど気にならなくなってしまった。シルビアが着ているのは燃えるような鮮やかなオレンジ色の服だった。
 「まあ素敵なお洋服ね」
 「何だそれは一体」
 「何だそれはって竜太郎の注文じゃないの、これは」
 「僕の注文?」
 「修理工が着るみたいなダブダブの繋ぎを着ればいいって言ってたでしょ」
 「何処が修理工なんだよ」
 「繋ぎでしょ? ダブダブでしょ? それに黒が厭だって言ったから鮮やかな色のにしたのよ」
 「そんな透けた服着た修理工がいるか。それじゃまるでアラビアン・ナイトじゃないか」
 「それで髪もアラビア風にしようと思ったんだけど時間が無かったから、あんまり凝ったのに出来なくて」
 「十分凝ってるよ」
 「お洋服もいいけど、その下のブラがいいわね。シルビアはお乳が大きいから透けたブラが似合うんだわ」
 「透けた服に透けたブラジャーじゃまるで裸と同じじゃないか」
 「姉ちゃんの裸見て興奮する?」
 「馬鹿」
 「竜太郎が小学校の5年生の時、私のおっぱい吸ったの憶えてる?」
 「憶えて無い。そんなことする訳無いだろ」
 「したんですよ、それが」
 「シルビアはそんなことさせたの?」
 「おっぱい吸わせるってどんな感じなんだろうと思って吸わせてみたの」
 「小学校の5年でそんなことする訳無いだろ。第1姉ちゃんだってその頃は子供じゃないか」
 「私は中学の2年と言ったらもう普通の人よりおっぱい大きかったわよ」
 「何でそんな変なことするんだよ」
 「もう昔の話よ」
 「全く信じらんないことするなあ」
 「幸せそうな顔してかぶりついてたわよ」
 「で、どんな感じだった?」
 「厭ねぇ、母さん。母さんだって経験があるでしょう?」
 「もう昔のことで忘れちゃったよ。帰ったら竜ちゃんにやって貰おうかな」
 「そんなのあいつにやって貰えばいいじゃないか」
 「お父さん? あの人はおっぱいに関心無いから駄目だわ」
 「それじゃ早く鯨食べに行こう」
 「場所教えて」
 「どうして? 今から一緒に行くのに」
 「僕だけ先に行くから」
 「どうして?」
 「駄目よ。渋谷はヤクザが多いんだから危ないの。私達と一緒に行くのよ」
 「一緒に歩いたら余計危ない」
 「何で?」
 「その格好見れば分かるだろ」
 「ああ、こういう格好してれば安全よ。ヤクザだって鼻の下が伸びてれば、スゴンで見せても迫力が出ないわよ」
 「変な理屈」
 「竜太郎のリクエストなんだから離れたら駄目よ」
 「そんなのリクエストしてない」
 「透けない奴なんて言わなかったじゃない」
 「そんなの常識だろ」
 「あら、今時は透けてる服なんか珍しく無いのよ。もうこれが常識みたいなもんよ」
 「まさか」
 「デートはどうしたのよ」
 「したよ」
 「純子ちゃんと?」
 「純子ちゃんなんて知ってるみたいに言うなよ」
 「それでどうだった?」
 「何が?」
 「何処まで行った?」
 「渋谷公会堂」
 「馬鹿ね、場所のことじゃないわ」
 「え?」
 「何処まで親しくなった?」
 「何処までって・・・」


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