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蛍の想ひ人
【女性向け 官能小説】

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「何でもないよ。寝な」
「ん〜・・・」

「博之の・・・夢を見たわ」
「そうか」
「信之に幸せにしてもらえって笑ってた」

「兄貴はいつも笑っていたからなぁ」
「そう、ね」

由布子さんは俺に身体をすりよせた。

兄貴は―――
由布子さんを残して逝くことに
どれだけ悔しい想いを残して逝ったのか。
どれだけ悲しい想いを残して逝ったのか。

そして、それだけ愛した女を
自分自身で幸せに出来ないもどかしさをどれだけ残して逝ったんだろう。

俺に、由布子さんを任せるその気持ちを思うと辛くて涙が出そうだ。

兄貴は、俺が知りうる中で一番強い人だよ。

「幸せに、してくれる?」
「もちろん」

それでも、兄貴。
ごめん。
俺、由布子さんを愛してるんだ。



謝るなよ、信之。
お前だからナツを託せるんだ―――



由布子さん、俺がいつまでもそばに居るよ。

「10年以上、一緒に居よう。
ずっとずっと2人で生きて行こう。
由布子さんの人生が終わるその瞬間まで、一緒に居よう」
「うん」

「私を一人にしないで」
「約束するよ」

愛してる。


例え、世界が滅んでも、一緒に居よう―――



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