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京子
【青春 恋愛小説】

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京子-21

 「お前薫にプレゼントするの買った?」
 「薫って?」
 「薫っていうのは村井さんのことだろう」
 「気安く薫なんて言うから誰か男かと思ったじゃないか」
 「俺と薫はもう気安いんだ」
 「え? もう気安いって?」
 「あれから何度もデートしてんだぜ」
 「へえー」
 「お前木村とデートしてないの?」
 「してない」
 「何で?」
 「何でって忙しい」
 「何が忙しい?」
 「サイクリング」
 「サイクリングなんて1人でえっちらこっちら自転車こいで何が面白いんだよ」
 「何がって説明出来ないけど、やってみれば分かる」
 「あんなの疲れるだけじゃん」
 「全然」
 「まあいいけど薫にプレゼント買ったら俺が届けてやるから俺に渡せよ」
 「うん」
 「予算はいくらくらいなの」
 「姉さんに5000円貰ったけど木村の分も買わないといけないから」
 「そうすると2500円か」
 「自転車のオイル買ったから全部は残って無いんだ」
 「いくら残ってんの」
 「4900円」
 「何だ、100円か。それ位自分の小遣いの残りで買えないの?」
 「残りが無かった」
 「しょうがねえなあ。まあそうすると2450円か」
 「おい、そこのデコボコ・コンビ」
 「どっちがデコなんだよ」
 「加藤君がデコに決まってるじゃない」
 「それじゃ陽介お前ボコなんだ」
 「デコちゃん、薫と頻繁に会ってるらしいじゃないの」
 「うんまあな。会って欲しいって言うから」
 「薫の話だと逆だけど」
 「まあいろんなニュアンスがあるから」
 「どうしたの陽介、お金なんか持って」
 「こいつ姉さんに5000円貰って100円使っちまったんだ」
 「何で5000円貰ったの?」
 「だから木村と村井さんのプレゼント」
 「あ、そうか」
 「自転車のオイル買って100円使っちまったんだと」
 「100円くらい持って無かったの?」
 「無かった」
 「駄目ねえ」
 「まあ、お2人さんで宜しくやってくれや。俺は先に帰るから」
 「薫と調子良くいってるもんだから、まあ」
 「木村何が欲しい?」
 「プレゼント?」
 「うん」
 「何がいいかなあ」
 「分かんなくて困ってる。その内無くなっちゃいそうで」
 「それじゃそのお金私によこしなさい。今度の日曜に一緒に買い物に行こう」
 「お金は渡してもいいけど、今度の日曜は都合が悪い」
 「何処か行くの?」
 「うん」
 「何処?」
 「その時の気分次第だから分からない」
 「サイクリング?」
 「うん」
 「呆れた。昨日電話したんだけど聞いた?」
 「聞いてない」
 「しょうが無いわねえ。やっぱり陽介のお姉さんだわ」
 「姉さんが出たのか」
 「うん」
 「何の用?」
 「別に用は無かったけど雨で退屈だったから電話してみたの。そしたら雨なのにサイクリングに出たっていうから呆れたわ」
 「雨の時は走りにくいんだけど、それはサイクリングの宿命だから」
 「何が宿命よ。風邪惹いたらどうすんの」
 「風邪なんか惹かないよ。ちゃんとヤッケ着てるから」
 「ヤッケ着たって首から雨が入って来るじゃない」
 「首にはタオル巻いてヤッケのジッパーを締めとくから大丈夫なんだ」
 「へえー。ご苦労さんなことね」
 「別に。楽しみで走ってるから」
 「それはそうね。まあ、今度の日曜は付き合いなさい」
 「買い物?」
 「そうよ」
 「金だけ渡して木村に頼むっていうのじゃいけないかな」
 「馬鹿。私が貰うプレゼントを私が買ってどうするのよ」
 「駄目か」
 「駄目」
 「それじゃ付き合う」
 「私が陽介に付き合うの」
 「それじゃ付き合って」
 「うん。付き合って上げるから」


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