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京子
【青春 恋愛小説】

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京子-19

 「変な所が似るんだね」
 「陽介君達といると何もゲームなんかしなくても楽しくて直ぐに時間が経ってしまうね」
 「あ、本当にもう夕方だね」
 「別にいいじゃない。何も予定なんか無いんでしょ?」
 「村井さんと何処か余所に行かなければいけないんだ」
 「陽介君、それは今度にしよう」
 「今度でいいのか?」
 「うん」
 「余所って何処行くの?」
 「さあ、俺は知らない」
 「何処?」
 「特に何処とは決めていなかったんだけど」
 「それじゃ俺も行きたい」
 「加藤君は邪魔なんだよ」
 「陽介は木村と行けばいいじゃん。俺は村井さんと行くから。何だったら4人で行ってもいいし」
 「そうか。それはいいね」
 「4人で何処行くの?」
 「何処がいい?」
 「俺は当分都合が悪い」
 「どうして?」
 「休みの度にサイクリングに行くから」
 「そんなの後にしなさい」
 「でも空気入れとサイクリング・パンツがあるから」
 「あるから何?」
 「サイクリングに行かないと」
 「1日くらい都合付けなさい」
 「何処に行くの?」
 「それはこれから決めるの」
 「ねえ、何で私と加藤君の組み合わせになるの?」
 「だってその方が絵になるじゃん」
 「陽介は私がいろいろ面倒見ないと駄目だから」
 「面倒見るって?」
 「歩き方を教えたり」
 「歩き方って?」
 「片足ずつ交互に出すとか」
 「馬鹿。そんなこと知ってる」
 「でもいろいろあるでしょ。例えばさっき買った切符をどのポケットに入れたかとか私が教えないといつまでも探してたことあったじゃない」
 「あ、そういうことは良くあるんだ。ポケットって沢山あるだろ?」
 「そんなの決めとけよ。切符はどのポケットとか」
 「そういうの決めても決めたことを忘れたら同じだろ」
 「お前は馬鹿か」
 「お前ほどじゃない」
 「まあまあ。陽介君はつまらないことに拘らないから憶える気にならないだけだよね」
 「うん。そうなんだ」
 「それってつまらないことかよ」
 「そうよ。キップなんて私が何処に入れたか憶えているからいいの」
 「そんなら初めから木村が持っててやればいいじゃないか」
 「そこまでするといつまで経っても大人にならないでしょ」
 「早い話が陽介は子供なんじゃないか」
 「木村さんちょっと陽介君の世話を焼き過ぎるんじゃないかしら」
 「そうかしら」
 「そんな風に見える」
 「いいよ。村井さんの世話は俺が焼いて上げるから」
 「あら、有り難う」
 「ねえ4人でボーリングに行くっていうのはどう?」
 「ああそれはいいわね」
 「ボーリングなんてやったこと無い」
 「やったこと無くても簡単よ。ただボールを転がすだけだから」
 「あんなの簡単だよ」
 「加藤君はやったことあるの」
 「やったことは無いけど見たことある」
 「あら。見てるのとやるのは大分違うのよ」
 「ただ真っ直ぐ転がして真ん中に当てればいいだけじゃないか。プロは格好付けてカーブかなんか付けてるけどあんなの格好だけだろ」
 「そうじゃ無いけど唯真っ直ぐ転がすのが思ったように行かないのよ」
 「そうか?」
 「陽介君ボーリングやろう」
 「いくら?」
 「え?」
 「ああ、大して高くないわよ」
 「ねえ、今度なんて言わないで今から行こう」
 「うん。いいわね」
 「俺姉さんに金貰ってくる」
 「お金なら私が持ってるよ」
 「でも空気入れ買って貰ったのに悪いから」
 「陽介君お金は私が払うわ」
 「村井さんが? 何で?」
 「私お金持ちだから」
 「俺の分は?」
 「加藤君の分も木村さんの分も全部私が出して上げる」
 「じゃそうしようか」
 「いいのか?」
 「うん。薫は本当にお金持ちなの」


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