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京子
【青春 恋愛小説】

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京子-16

 「歌いながらお芝居するっていうとミュージカルみたいなもの?」
 「そうね。あれは唄も踊りも現代的だけどオペラは踊りっていうのは余り無くて音楽はクラシック音楽なの」
 「クラシック? それはいかんな」
 「何でいかんの?」
 「あれ聞いてると眠くなる」
 「薫のエスコートなら我慢出来るでしょ?」
 「時間はどのくらい?」
 「そうね、2時間ちょっとかしら」
 「それはいかんな」
 「どれくらいなら我慢出来るの?」
 「10分くらいなら何とか」
 「10分で終わるオペラなんて無いよ」
 「何かこう、もっと楽しくなるような映画とかにしないか」
 「楽しくなるような映画って?」
 「格闘技十番勝負とか」
 「格闘技?」
 「真剣勝負で面白いよ」
 「ああいう乱暴なのは私駄目なの」
 「それじゃ西部劇は?」
 「大して変わりないじゃない」
 「そうか?」
 「それにオペラは予約してやっと取れた切符だから」
 「いくらしたの?」
 「1万5000円」
 「えーっ。1万5000円? 1人?」
 「そうよ。だってベルリン・ドイツ・オペラですもの」
 「それって凄いのか?」
 「凄いわよ。出演者やオーケストラは勿論のこと演出から舞台道具・衣装まで全部運んで現地のと同じのを日本でやるのよ」
 「へえー、それは凄い」
 「何が凄いか分かってるの?」
 「良く分かんないけど凄い」
 「薫、私と行こう。こいつらと行ったら1万5000円捨てるみたいなもんだ」
 「そうね。木村さんが行けるならそれがいいけど」
 「陽介は?」
 「何が?」
 「ベルリン・ドイツ・オペラ行きたい?」
 「俺は駄目」
 「何で?」
 「クラシック聞いてると頭が痛くなるから」
 「陽介君どんな音楽が好きなの?」
 「うーん。あんまり無いんだけど」
 「歌田カオルじゃなかったの?」
 「あ、そうそうそれ」
 「お前自分の好きな物くらい自分で答えろよ」
 「自分で答えたじゃないか」
 「木村が答えたんだろ」
 「先に言われちゃっただけだ」
 「陽介は歌田カオルが美人なんだって」
 「えー、あれの何処が美人なんだよ」
 「何処って顔が」
 「だから顔の何処が?」
 「顔の何処って言われるとちょっと分からないけど」
 「村井さんとどっちが可愛い?」
 「厭だ。木村さんやめて」
 「そんなの問題になんないよな」
 「うーん」
 「何考えてんの?」
 「やっぱり村井さんかな」
 「そんなの考える程の問題じゃ無いだろ」
 「うん」
 「加藤君は誰が好きなの?」
 「歌手で?」
 「歌手でも何でも芸能人で」
 「夢野マリアかな」
 「誰? それ」
 「女優」
 「女優? どんな映画に出てる?」
 「映画には出てない」
 「テレビ・ドラマ?」
 「ビデオ」
 「ビデオ?」
 「アダルト・ビデオ」
 「馬鹿」
 「可愛いよなぁ」
 「うん。おっぱいが大きいんだ」
 「あんた達いい加減にしなさい」
 「陽介、アダルト・ビデオなんていつ見たの?」
 「見て無い。雑誌の広告で見ただけ」
 「見たら駄目よ」
 「18になってないから?」
 「20まで駄目」
 「でも18歳未満禁止って書いてありますよ」
 「加藤君じゃないの。陽介のこと」


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