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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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四度目の恋-9

「そんな顔、しないで?」
「えっ!」

自分では分からないが、彼女からしたら今の俺は相当情けなく弱弱しい顔をしていたらしく、それが全面的に表に出てたみたいで。

もらい泣き、とも言い難いが今にも泣きそうな顔をしているのだろう。

「だって、俺!」
「酷いよね…。」

うっ!

恐れていた言葉が現実に。

「酷いよね、折角君が誠意を持って告白してくれたのに、ここにきて引っ越し何て。」
「え…。」
「そりゃーお祖母ちゃんの為って言えばグーの文字も出ないけど、こんな時に引っ越し何ていわなくても。」
「……。」

俺を責めてるんじゃ、ないのか。

「違う違う!…だって君はそういう可能性も踏まえて言ってくれたんでしょ?」

声に出てた。

「あ、あぁ。」
「そりゃー惜しいなぁーどうして今更…って気持ちはある、けどそれでも嬉しい!だって最後の最後でそんな事を聞けたんだもの、それなら今となってはこれ以上にないくらいに最高の出来事よ。」
「水原、さん…。」
「ありがとう、本当に…この事実は恐らく一生忘れない、ううん忘れたくない。」

溢れ出てた涙もすぐさま乾きだし、そして笑みを浮かべ。

「それで、返事は?」
「……。」

そう尋ねると彼女は悲しそうな顔で下を向き、そして。

「御免なさい…。」
「え…。」
「分かるでしょ?この状況…遠距離恋愛にしても北海道と埼玉じゃ無理だよ。」
「……。」

やっぱり

「だからそんな顔しないでって、貴方は私を傷つけたって思って、いや思い悩んでるんだろうけど違うから。」
「え…。」
「貴方は誰も傷つけて何ていない。貴方の過去にどんな事があったのか知らないけど、私は知ってるよ?貴方は優しい、他人の気持ちを考える事の出来るとても良い人だって。」
「水原、さん…。」

その顔はとても悲しく、けれども心の奥底からの喜びに満ち溢れていた。

それから出すものを出し切った俺は、いや俺たちはその後嬉しさや悲しさが混合しつつ自宅へと戻った。

それから後日彼女は引っ越しの準備に取り掛かかり、そして…。

次回、79話に続く。


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