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『手』
【ホラー 官能小説】

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『手』は、指先を下にだらりと下げた状態で宙に浮いていた。そのだらりと下げた状態が、妙に恐怖心を煽った。掌を見せて、指をくわっと開いていない分、わざとらしさが感じられない。宙に浮いているというのも非現実的だ。これは本当に今目の前で起こっていることなのか。夢を見ているのではないか。すると『手』は木田の気持ちを察したのか、ゆっくりと、ゆらゆらと木田の方へ近づいてきた。
違う、夢だ、夢だ、夢。起きたら何もないから。しかし、木田の希望は打ち砕かれた。ボトッと両手が木田の胸元に落ちたのだ。その何とも言えない重量と生暖かさに現実味があり、木田は出ない声で叫びながら呼吸のみを必死に荒げた。
昔話で聞いた氷のような冷たさじゃない、人肌と、僅かに湿った掌の質感が、『手』の持ち主の生前を物語っていた。
『手』は少しずつ木田の首元へと伸びていった。これで死ぬのか…。
しかし、『手』は首を締めなかった。首筋から鎖骨を、鎖骨から胸元を、そして乳首を…指先で優しく、なぞるように触ってきた。何かを探っている動きではない。これは愛撫だ。木田も彼女ができる前、大学に入って最初の1年はバイト代を全て風俗に注ぎ込んでしまうほどハマった時期があった。だからこそ分かる。これはプロの風俗嬢のテクニックだ。しかも今まで味わった、生きた風俗嬢の誰よりも極上のテクニック。木田は先程までの死すら覚悟した恐怖を忘れ、性的な昂りを感じた。
気持ちいい。早く下へ…乳首もいいけど…もっと。しかし、もどかしい。指先が乳首や性感帯を開発させるためにせわしなく巧みに動くが、下への移動は秒針よりスローだ。焦らされているのだ。動けないのをいいことに主導権を握られたわけだ。こんなにもぺニスへの快感を求めたことはなかった。何時間にも思える焦らしが終わり、『手』は陰毛へ辿り着いた。やっと、やっと…。違う、焦らさないで、タマをくすぐったりしないで。そこは蟻の門渡りを指先で何十、いや、何百往復もなぞられ、くすぐられた。体が動いていたなら、シーツをくしゃくしゃに握り、仰け反り、木田自身聞いたことがない声で喘いでいただろう。もしかしたら焦らしに耐えられず、自らぺニスを握りしめ、扱いていたかもしれない。焦らしの無限地獄が終わり…ああっ。心の中で歓喜の叫びを挙げた。先走った液でドロドロになった亀頭を撫でられたのだ。これまでにない快感を味わったかと思ったそのとき、ゆっくりと陰茎を上下に扱かれ始めた。駄目だ、もう出る、もう出る、もう…出ない。木田が果てるか果てないかのギリギリの瀬戸際を弄んでいるのだ。
お願いします、出させて、いきたい、いかせて。心の中で何度叫んだだろうか。『手』のピストンが早くなった。しかし、決して雑ではない。出る、と感じたと同時に勢いよく精液が吹き出した。
ドクッドクッドクッドクッドクッドクッドクッ…
まだ出る。どの風俗嬢にしてもらった時も、元カノと寝た時も、こんなに一度に射精したことはなかった。いや、もう出ないよ。出ないから、出ないからやめて…。なぜか萎えないぺニスを扱かれながら亀頭を撫で回され、続けざまにオーガズムを迎え、木田は失神した。
木田が目覚めたのはちょうど目覚ましをかけていた時間だった。夢ではないと知らされたのは、起きた時に全裸だったこと、体の所々にミミズ腫れのように爪痕があったことだった。言い知れぬ恐怖を感じたが、それと同時に、また『手』に会いたいという感情もあった。その希望は叶った。2日おきに『手』はやって来て、木田を滅茶苦茶に犯していくのだった。

それから2ヶ月、もう恐怖はない。それより怖かったのは木田自身だった。これほどの快感を与えられながら、更なる快感を欲してしまっていたのだ。
今夜は枕元にローションを用意してある。『手』は気付くだろうか。首元へと伸びて来た『手』に、いつもよりも高揚していた。しかし…変わらない。いつも通り気持ちいいのだ。狂おしい程に焦らされ、まるで人妻モノのポルノに登場する、欲求不満で焦らされる人妻のように心の中でおねだりまでしてしまった。だが、やはりいつも通りかという落胆はあった。
そしてぺニスを握られた時、『ぬちゅ』という音とヒンヤリとした冷たさが陰茎を襲った。ローションだ。歓喜に胸を踊らせたのも束の間だった。
あ、ちょっと待って。違う。扱いてほしくて準備したわけで…駄目、入らないよ。指いれたことない…駄目待って…。
入ってしまった。指が前立腺をコリコリ捏ね回したかと思うとピストンのように出し入れした。完全に木田は女の子になりきってしまった。アナルを指で犯され、繰り返し射精し、泣いた。
もう駄目、無理、いかせないで、終わって、お願い、ごめんなさい、好奇心でした、許して。
5度目のオーガズムで意識が遠退く中、微かに女の含み笑いが聞こえた。
その日以来、毎日のように『手』は現れてはぺニスとアナルを弄び、木田の身も心も犯すようになった。ローションを捨てても金縛りに合ってはアナルに指を入れられ、目が覚めると枕元に、いっこうに減らないローションが置かれているのだ。毎晩の凌辱が始まって2週間で木田は10sも体重が減った。


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