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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第9章 真っ赤なリース-3

22時になると子供達はサンタに名残惜しそうに別れを告げ美由紀に寝室へと連れられて行った。田澤と吉川が子供達が散らかしたリビングを片付けワインを飲み始めた。

「お前とこうしてゆっくり飲むのも最後か…。寂しくなるな。」
「東京に行った時、飲めますよ。」
「そうだな。お前には色々と世話になったな。」
「こちらこそ。」
2人はこれまでの思い出話に花を咲かせた。

「本当にいいんですか?立花は。」
「ああ。散々ヤリ尽くしたから未練はないかな。」
「そうですか。」
田澤はワインをグイッと飲み、吉川に空いたグラスにワインを注がれる。それから栄転の自慢話を嬉しそうに話し続けた田澤。ふと大きな欠伸をした。
「何か酔っ払ってしまったな…。」
目を擦る田澤。ソファに背中をつけるとそのまま寝てしまった。そして本当に寝たかどうか顔を覗き込む吉川。すっかり寝ている事を確認すると表情を一変させた。吉川はスマホを取り電話をかける。

「寝たぞ。」
電話の相手は朱音だった。
「子供も奥さんも?」
「ああ。二階に上がって音沙汰ないから寝てると思う。」
「思う?」
「あ、いや…確認してくる。」
「そうね。」
吉川は二階に上がり子供達と美由紀が寝ている事を確認した。

「じゃあシャンパンを派手にばら撒いて?いーい?たっぷりと撒くのよ?」
「ああ。」
吉川は1階に戻りプレゼント袋の中からガラスビンを取り出し中身をジュータンやカーテンに振りまいた。鼻を突く刺激臭に顔をしかめながら家中にその液体を撒いて回る。

「全部撒いたぞ?」
「お疲れ様。」
「これで本当にあの事は黙っててくれるだろうな?」
「ええ。若い女を交通違反で捕まえては、罰則を見逃す代わりに体を求めた事、黙ってるわ?」
「本当だな?」
「ええ。じゃあ最後の仕上げ、して?それで終わりよ?」
「分かった。」
吉川はカーテンの裾にライターで火をつけた。あっと言う間に火が勢いよく燃え出した。

その時、家の外にいた朱音はジッポに火をつけ、炎を見つめながら外気よりも冷たく凍りつくゆうな笑みを浮かべた。
「結局あなたに本当の自分を取り戻して貰ったわ?ありがとう。感謝してるわ?男に尽くす私なんて私じゃないし。クリスマスイヴに胸をときめかす女でもない。私を裏切ったお礼に、最後のクリスマスイヴをプレゼントしてあげる。田澤課長、愛してますよ…。そして…、さようなら…」
朱音は火のついたジッポを地面に落とした。すると時計の針が周回するように、先程朱音が歩いた足跡に沿って火が家を取り囲むように激しく燃えたのであった。

「帰る場所さえなければ、あなたは永遠に私のもの…フフフ。」
朱音は不敵な笑みを浮かべて田澤の家を立ち去ったのであった。


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