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良助
【青春 恋愛小説】

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2 順子-9

 「大きな声を出すなよ。待てっ、こらって、そういう服着て言う言葉じゃ無いだろ」
 「服が喋る訳じゃない。ハイヒール履いてんだから離れて歩くな。ピッタリくっついて歩きなさい」
 「どうして?」
 「よろけたらとっさに良介につかまる」
 「よろけるような靴履くなよ」
 「女だからしょうが無い」
 「あーあ、たまんないな」
 「ため息ばかり付くんじゃないの。若い癖して」
 「へいへい」
 「粕谷君の癖がすっかり移ったね。それも止しなさい」
 「はいな」
 「何それは?」
 「イエス・サーの若者言葉だよ」
 「私は女だからサーじゃなくてマームって言うんだよ」
 「マームって何?」
 「マダムの略」
 「マダムって結婚してる女のこと言うんじゃないの?」
 「そうだったかな? サーよりはいい」
 「さー、どうだか」
 「洒落てんじゃ無い」
 「田宮んちは貧乏らしいから何か途中で買ってった方がいいんじゃないか?」
 「そりゃ手ぶらでは行かないけど、貧乏ってことは無いだろ」
 「どうして?」
 「名簿みたら銀行員って書いてあった」
 「銀行員? あ、そうか」
 「どこの銀行?」
 「知らない」
 「それくらい聞いておきなさい」
 「うん。銀行員って貧乏では無いの?」
 「まあ金持ちとは言えないとしても貧乏では無いんじゃないの? どういう肩書きなのかっていうことにもよるけど」
 「肩書きは社長だって」
 「社長? 銀行って頭取っていうんじゃ無かったかな」
 「そう、それ」
 「何? 銀行の頭取?」
 「うん、そう言ってた」
 「田宮さんの親父さんが?」
 「うん」
 「それ田宮さんが言ってたの?」
 「うん。それと大和田も」
 「何? それじゃ良介は銀行の頭取の娘と付き合ってんのか」
 「頭取って言ってもサラリーマンと同じだから全然金持ちじゃないって言ってた」
 「誰が?」
 「田宮が」
 「馬鹿」
 「何で?」
 「それは謙遜っていうんだよ」
 「そうか?」
 「やっぱりドレスアップしてきて良かった」
 「田宮も室野の家見てた時だから金持ちとは言えなかったのかな」
 「室野って?」
 「木原といつも一緒にくっついてる奴。眼鏡掛けてて髪がチリチリにカールしてる」
 「ああ、あれか。文化祭の時に会ったね」
 「うん、食堂に居たな。一緒に写真に写ってる」
 「あの子のうちは金持ちなの?」
 「当たり前さ。室野グループの室野だよ」
 「良介、室野グループって知ってるの?」
 「良くは知らない」
 「全然知らないんだろ」
 「詳しくは知らない」
 「乗っ取り屋だよ」
 「乗っ取り屋? 室野の親父って暴力団だったのか?」
 「暴力団じゃない。株を買い占めて会社を乗っ取るんだよ」
 「そういうことが出来るのか」
 「そう、金があればね」
 「それじゃ凄い金持ちってことなんだな」
 「まあそうだね」

 その時同じ電車に乗っていた大学生らしいグループが近づいてきてその中の1人が言った。


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