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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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持つべきものは-8

「御免なさい、雨が降り出して慌てて洗濯物を取り込んでると隣で貴方の家の所も干しっぱなしで、知らせようとインターホン鳴らしたけど留守で、扉は締まってたけど窓は開いてたそうで、濡れたらいけないと思い、中に入ってしまいました。」
「いや!良いんだ!むしろ大助かりだよ、洗濯物取り込んでくれただけじゃなく中で干して、乾いてきた衣服はアイロン掛けてくれて。」

部屋干しされた衣服にアイロン掛けする音が充満し、部屋の大半を彼女が占めているようで。

それからアイロン掛けもすぐに終わり、俺はお礼になんないけど軽くお茶を出してもてなしてあげて。

「いやー本当に助かったよ、なんとお礼を言って良い事やら。」
「そんなお礼だ何て、ついでですよついで…。それにしてもホント佐伯君の親は何をしているんでしょうね、こういう事が起きると親としての品格を疑いかねませんね。」
「まぁー俺の親父も建設関係で働いていて、彼の再婚相手も温泉で働いているからな、どっちも共働きなんだよ。」
「…寂しく、ないの?」
「寂しくは、ない…つったら嘘になるな、正直キツイかな、親父も変わってくれて良い再婚相手、つまり俺の新しい母さんも良い人なんだろうけど。うちがとても貧乏だし働いて精一杯稼ごうと、それで残業や早朝出勤、はたまた休日出勤してくれて、そうする事で俺を幸せに出来ると考えているからな、親父も再婚相手の人と交際している時にそう言ったそうだから、影響を受けたのかも知れないし。」
「……謎のベールに包まれた貴方のお父さんとその再婚相手、気になりますな。」
「気にならなくて良い、親父は真面目に働き再婚相手も設けた、けど昭和の人間な訳だし未だ男が家の事をする…何て考えた事もないらしく。」

亭主関白、とはまた別かな。

「とにかく親父も妙子さん…あっ、再婚相手の名前ね、も俺の為に頑張ってくれてるんだそう考えたら俺が家事をして、寂しいの我慢する…これがいつもの日常になるね。」
「佐伯、君…。」

それは分かる、分かるけど…それでも!それでも一度くらいは…。

恨めしそうに家の食卓を見つめる。


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