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クッキーの行方
【その他 官能小説】

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クッキーの行方-2

(2)

 女は部屋に入るなり、
「ちょっと失礼します」
携帯をかけた。
「いま入りました」
入室の連絡なのだろう。ロビーにいた男の顔が浮かんだ。

 今朝は早めに家を出て、仙台市とその近郊の得意先を精力的に回った。出来るだけ余裕を作りたかったからだ。とりあえず目的はないが、1人の時間を確保してゆっくりしたかったのである。
 夕食を外で済ませ、酒を買って予約したシティホテルに入ったのは8時前、外で飲むことも考えたのだが、
(明日以降のことは今夜作戦を練ろう)
それもまた楽しみであった。たまには1人もいい。旅人の心境になっていた。

 ロビー脇の喫煙所でタバコを吸っているとスーツ姿の男が入ってきた。手にはビジネスバッグを提げている。いかにも出張のサラリーマン風である。
 ここは駅からやや離れている。建物も古く、その代わり部屋代は安い。見たところビジネス関係の客がほとんどのように思えた。

「失礼ですが……」
男は愛想よく笑いながら、
「こちらへはお仕事ですか?」
「ええ、東京から出張で」
「お1人で?」
「ええ……」
男は頷きながらしばらく黙っていた。
「あなたも出張ですか?」
「いえ……」
ポケットから名刺を出して軽く頭を下げた。
「実は、お楽しみのご案内なんで……」
小声になって口早に説明した。

(デリバリーヘルス……)
名刺には手書きの携帯番号とピンクの文字で『LOVETIME』とだけ書かれてあった。
 2時間たっぷり、2万円、本番以外何でもあり、サービスします。……
男はそれだけ言うと出て行った。
 姿を追うと、男はロビーの一画に座り、辺りを見回している。
(客を物色しているのか……)
心が動いたのは、やはり解放感であったろう。


 女は「まゆみ」と名乗り、
「すいません。先払いなんですけど」
「あ、そうか」
用意しておいた金を渡した。
「領収書はないので……」
「そうだろうね」
可笑しくなって笑った。

「シャワー、浴びますね」
「どうぞ」
「一緒にですよ」
「そうなの?」
突然のことで少し慌てた。若い女と裸で……。
「さっき、浴びたんだけど」
「もう1度、きれいにしましょ」
(こういうものなのか?……)
初めてなのでわからない。ソープの出張版みたいなものか。
 まゆみはスーツを脱ぐとハンガーに掛け、間もなく下着だけになった。
(そうか……)
ホテルで目立たないようにスーツを着ているのかもしれない。ロビーの男のように。

 まゆみに手を引かれ、
「なんだか、恥ずかしいな」
照れ笑いでごまかしたが、本心でもあった。それに、ペニスが反応していないことが気にかかっていた。怖気づいたように縮こまっていたのである。急な展開に対応できないでいた。

「お手伝いしまーす」
西村は浴衣姿である。まゆみが帯を解き、パンツにまで手を掛けたので、彼は、
「いいよ、自分でやる」
「いいじゃないですか」
言葉が終わらないうちに引き下げられた。
 女を呼んだのだからギンギンに勃起して迎えたいところだったが、何とも情けないしぼみ様に、
「最近、元気がなくて……」
自嘲気味に言うしかなかった。

「私、元気にしてあげます」
肌が匂うほど間近で下着を脱いで、
「いきますよ」
浴室の扉を開けて引き締まった尻を振った。

 明るい娘だった。絶えない笑顔は『営業』だったのだろうが、それにしても明るかった。
 形の良い乳房は掌にやや余る、ほどよい大きさで乳首はツンと上を向いている。引き締まったウエスト、腰の張りはどっしりと女体の魅力を滴らせていた。そして湯を弾く肌の肌理の細やかさ、白さ。ペニスは視覚の刺激で難なく漲り始めていた。

「わ、すごい。元気じゃないですか」
「君が魅力的だから」
「ふふ、うれしい……」
ボディソープを手につけたまゆみは、彼の体、とりわけ下半身をゆっくり、入念に洗った。
(気持ちいい……)
それはもう、愛撫であった。小さな手がまとわりつくように幹と亀頭を行き来する。
 デリバリーとはこんなにサービスするものなのか。もっと味気ない『作業』なのかと思っていた。誰もがこうなのか。……

「洗わせてもらえるかな」
若い体に触れたくなった。
「いいですよ。ふふ」
まゆみは胸を突き出して彼と向き合った。
(柔らかな肌……)
乳房、腹、腰……。膝をついて太ももを抱くように擦った。
「きれいだ……」
心地よさに酔いしれかけて思わず洩れた言葉だった。
「そんなに言われると、感じてきちゃう」
客の気分を昂揚させるために言っているのだと思いつつも西村は昂奮した。

 割れ目に指を這わせてソープとは異なるぬめりに触れた。
「あう……」
まゆみの体が微妙に強張った。
「濡れてるでしょう?感じてきたんですよ」
「うれしいな。うれしい……」

「そろそろ出ますよ」
 シャワーを当てられた亀頭はピンピンと感じる。若い頃の勢いはさすがにないが、数年来見られなかった硬さになっていることは確かなことだった。
(やっぱり相手によるんだな……)
妻とも営みはあるが、それこそ『作業』のように決まった手順で事を済ませる昨今の実情である。


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