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Time Capsule
【初恋 恋愛小説】

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White chocolate valentine-2

20年前のバレンタインから始まった2人の蟠りは完全に消えた。だからと言ってもう一度関係をやり直す事は出来ない。俊輔は亜里沙と言う最愛の女性と結婚し、友美は中里啓太と言う立派な人生のパートナーがいる。過ぎ去ってしまった20年と言う時間は決して取り戻せるものではなかった。それをお互い理解しているから昨夜、ボーリングを終えた後、それぞれの愛する者の元へ何事もなく帰ったのであった。

「そっか、せっかく貰ったチョコレートの味も知らないだなんて、貰った人からすれば失礼な話だよな…。確かに俺は大切の仕方が間違ってたかも知れないなー。」
今考えればさっさと食べてしまえば良かったと思う。今更開けたところで中がどうなっているのか見るのも怖い状態になっているかも知れないし、結局捨てる事になればそれこそ友美に失礼な話だ。しかしせっかく蟠りが消えたばかりなのに捨てるのも気が引けて、とりあえずそのまましまっておく事にした。

会社に行くと女子社員らから義理チョコを貰った。当然生まれて初めて女からバレンタインのチョコレートを貰った時のあの感動などない。貰えないよりは嬉しいかな、そんな気持ちだ。
言ってみれば友美に貰った時の定義としては義理チョコのはずだ。しかし初めて女から貰ったチョコレートとは言え本命から貰ったぐらいに嬉しかった事は間違いない。きっと本命だの義理だのを抜きにして、友美に貰えた事が嬉しかったのかな、そう思えるようになった。

今日女子社員から貰った義理チョコはデスクワークしながら殆ど食べてしまった。その方がくれた方もちゃんと食べているのを確認出来て嬉しいだろうと思った事と、貰ったものを持ち帰り亜里沙に冷やかされたり何かを疑われたりするのが面倒臭かったからだ。顔では平気な顔をしていても、内心ではいらぬ疑いをかける…、女はそう言うものだと思っている。なら全然貰えなかったと言って、モテないねーと言われた方がマシだ。面倒は避けたかった。

取り敢えず貰った義理チョコは全部食べた。自慢ではないが結構貰った方だと思う。昼飯を抜きにしてまで全てのチョコレートを食べ尽くした俊輔であった。

あと一踏ん張りだ…。そう気合いを入れた理由は、最後の大仕事、亜里沙からのバレンタインのチョコレートを物凄く美味しそうに食べなくてはいけないからだ。それが一番重要だ。本命に対する心構えはできている俊輔であった。


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