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Time Capsule
【初恋 恋愛小説】

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White chocolate valentine-1

「いってらっしゃい♪」

彩音を抱えた俊輔に、いつものように笑顔で手を振る亜里沙。
「いってきます。」
俊輔は車に彩音を乗せ出掛けて行った。車を運転しながらいつもよりもスッキリした気分である事に気付く。今まで心の支えとなっていたものが無くなり、雲一つないこの青空のように気分が晴れていた。

ずっと胸にしまい込んでいた想いを友美に伝えられて本当に良かった。そう思うのは友美も同じだ。今言える事は、消えない霧はないと言う事だ。きっと2人はあの日以来霧に包まれていただけなのであった。そしてその霧が晴れた時に見た真実に、ようやくお互いの心が通じ合えた、そう思った。

保育園の駐車場に着き彩音を抱え車を降りる俊輔。玄関を開け中に入るとドアを開けて友美が笑顔で出迎える。
「おはよー!」
弾けんばかりの笑顔だ。ついつい中学時代の朝を思い出してしまう。いつも元気におはようと言ってくれた。そして友美の目にもきっと昔と変わらぬ俊輔の姿が映ったに違いない。
「おはよーっす。」
若干照れながらそう答えた。

「昨日はありがとう。大袈裟かも知れないけど何か新しい人生が始まったような感じがする。」
「俺も。何か安心したよ、やっと。」
「何よ、安心って。」
「まー色々…。」
「変なの。じゃあ彩音ちゃん預かりますねー。」
いつものように彩音を預かる友美。彩音も日に日に友美に懐いていくようだ。嬉しそうに笑いかけている。

「昨日帰りが遅くなって奥様心配しなかった??」
「あ、ああ…。帰ったらもう彩音と寝てたし、朝、昨日は遅かったねで済んだよ。友美は?」
「私は俊輔と卓球してくるって言ってあったから平気だよ?」
「そ、そうなんだ…。」
同級生の男と夜に会うのに、よく平然と言えるなと感心した。自分の場合、友美と会うと言ったら最後、色々詮索されそうでとてもじゃないが言えなかった。
そこで他の保母さんが出勤して来た為、怪しまれるような言動を控えた2人。その保母さんに挨拶して保育園を後にした。

「友美か…」
再会してから俊輔の中で友美の存在がどんどん大きくなっていた。ここ数日、友美の事ばかり考えていたと言っても過言ではなかった。そして昨夜、改めて思った。友美は俺の初恋の相手だったのだと。大人になって初めて気付いた幼い頃の自分の気持ち。きっとあの頃の自分は好きな女と毎日楽しくお喋り出来てさぞかし幸せだったんだろうなと、客観的に思ったのであった。


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