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Time Capsule
【初恋 恋愛小説】

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第1章 あの日の後悔-3

中里…、名前が変わっている。それでは当然名前を見てもピンとは来ない訳だと思った俊輔。俊輔の記憶の中にあった彼女の名前は村田友美。中学の同級生である。結婚したのだろう。あれから20年も経てば顔も変わる。それに高校から女はグッと大人の女に向かって成長していく時期だ。確かに中学時代も可愛かったが、あの時将来友美がこんな具合に美人になるとは想像するのも無理な話であったし、目の前の友美から中学時代の姿を想像するのもまた無理な話であった。俊輔は面影を頼りにようやく目の前の女性が村田友美であると気がついたのであった。

「保護者の名前見て、まさかとは思ったけど、本当に俊輔だとはね。びっくりしちゃったよ。」
「お、俺もだよ…。て、てか…見て俺だって分かったの…?」
「うん。すぐに分かったよ。」
「す、凄いな…。俺は全然分からなかったよ…。」
「まー、私の場合はあれからだいぶ美人になったからね!分からなくて当たり前だよ♪」
そう言って胸を張り威張った姿を見せる辺りがやはり友美らしい、変わってないなと感じた。そんな友美に突っ込みを入れるのが俊輔だった。
「ただ単に歳食ったから分からなかっただけだよ。」
「アハハ。そうかもねー。」
そう言って笑った友美に少し違和感を覚えた。昔なら何〜!?と膨れながら中指を立てて来るところだったし、当然そう来ると思っていたが、想像とは違う対応に俊輔は戸惑ってしまった。

友美もどうして俊輔が戸惑っているのか感じとったようだ。お互い変な間を生んでしまった。俊輔は急に居ずらくなり慌てて言った。
「あ、仕事遅れるから…、行くよ…。」
友美はえっ?と言った表情を浮かべ、少しソワソワしたような様子を見せた。
「あ、うん。じゃあ彩香ちゃんお預かりするね。」
俊輔は友美に彩香を渡した。彩香を大事そうに抱っこする友美は彩香の手に添え、
「じゃあパパ、お仕事頑張ってね〜。バイバイ〜」
と手を振らせた。つられて手を振ってしまった俊輔は、急に恥ずかしくなりそそくさと玄関を出て車に乗り込んでしまった。
「な、なんか変な感じだなぁ…」
さっき家を出るときに亜里沙に手を振った光景が蘇る。それと同じ感覚を得たのであった。それはまるで友美が妻になったかのような錯覚を感じてしまったのであった。

「何だかなぁ…」
俊輔は頭をかきながら車を走らせた。まさかこんな所で友美と再会するとは思ってもいなかった俊輔だったが、素直に喜べない自分がいるのであった。


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