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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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男子会-4

暖かい室温、立ち込める湯気。暗い夜道を歩き着いた先が明るいとやはり気分もどことなく明るくなるものだ。

「いやー久しぶりだなぁー風馬、それに蓮も。」
「うん。」
「特に一条君とはね。」

聞く所によると一条君と佐伯君は意外と電話もメールでもやり取りがなかったらしい。

「んもぅー駄目じゃんかぁー忙しくてもメールくらいしないと。」
「んまぁーそうなんだろうけどー。」
「あまり特に用事って訳でもないし。」
「だったら真夏の日にメールを寄こすとか。」
「暑中見舞いかよ!」

こうやってふざけ合えるのも男子会ならでは…ってか。

「して風馬、お前はどうなんだよ、柊さんとは。」
「勿論上手くやってるよ。」
「SEXはした?」
「よしてよ誰かが聞いてたら誤解される株が下がる。」
「お前らも美男美女カップルだからな。」

ラーメンをすすりつつニタニタと笑う彼。

「んもぅーそういう佐伯君はどうなの?」
「いやー俺はもう恋なんて、今は寂しく暮らして。」
「でも最近また良い出会いをしたんだって?確かお隣さんの方と。」
「うっ、誰から聞いた?」

一条君がチラッと僕の方を見つめる。

「ううーお前らなぁー。」
「クラスが同じだからねー、で?どうなの。」
「そりゃーおめー。」

麺を箸で掴んだまま目を泳がす。

「…付き合って欲しいって。」
「うわぁー早速告白されてやんのー、このモテ男めぇー。」

やっぱりモテるんだな。

「して、どう返事したの?」
「不束者ですが…って?」
「そう急かすな。」

と、お冷を一杯口にし返答する。

「断ったよ…、自分にはそんな権利はないって。」
「えぇー!なんでよー!折角また恋が出来ると。」
「それが嫌なんだよ!」
「えっ?」

そう言うと彼は視線を机に置き。

「…もう、傷つけたくないんだ、誰も。」
「佐伯、君…。」

彼は嘗て伊吹さん、早乙女さん、そして今は僕の恋人若葉ちゃんと交際していた。

「もう恋何てしない!…的な?」
「ふっ、傷つけたくない、だ何て本当は自分が傷つきたくないだけなんだろうけど。」
「あたる…。」

彼は彼なりに異性とお付き合いする事の意味を嫌って程知ったのだろう。

「…して?相手は何て。」
「諦めないって、無理に交際は求めないけどただの隣人として接してはもらう、って。」
「あぁー、どうにか相手との関係を途絶えない為に。」

何か、必死だなぁー。

「ハイ!俺の話はこれでおしまい!今度は蓮!お前の話だっ!」
「きょ、今日はスープが一段と美味しいね!」
「巴とは確か別れたんだって浮気されて。」
「うぅーそんな直球に言わなくたって。」

けど、そんなに酷く落胆する様子もなく。

「もう一度やり直してくれっ!とか言わないのか?」
「ううん!」

躊躇なく首を横に振る。

「お互い承諾の上での別れなんだし、…まっ辛くないって言えば嘘になる。」
「…毎日学校で顔合わせるもんな。」
「そうだけどここは前向きに考えるよ、普通の友達としての関係になれると。」
「蓮…。」

二人とも失恋して今は独りかぁー。でもそれが悪いって訳じゃない、独身=ダメ人間な訳もなく。

佐伯君はもう恋は諦め、一条君は伊吹さんの幸せを陰ながら応援すると。

「大体よぉーだりぃーんだよ女何て!あれこれおねだりしてきて何かありゃーすーぐ怒ってよぉー。」
「うんうん!世の中恋もしないで一生涯過ごす人だって星の数までいる訳だし。」

二人ともウジウジするのはやめて新しい生き方を目指すようで。

「風馬、お前は彼女の事大切にしてやれよー!」
「僕らみたいに…いや僕らが負け組とかではないけど、頑張って!」
「なーんかそう考えるとお前が急に憎らしくなってきたなぁー。」
「よし、ここのお代ぜーんぶ君に払ってもらおっか!」
「おっ、それ良いね、風馬あざーす!」
「なぁーんでそうなるんだよぉーあははっ!」

何処かモヤモヤが吹っ飛んだ気分だ。

失恋しても男の友情は固いのかな。



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