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青熟の車輪
【ロリ 官能小説】

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訪問者-1

 「鷹志、鷹志ー!」
 リビングから僕を呼ぶ声が聞こえた。
 「何ー?」
 「鷹志ー!」
 用事があるなら自分が来ればいいのに、こっちの都合はお構いなしに呼びつける。いつもの事だ。僕は作業中のPCをスリープさせて席を立った。
 リビングでは、目を赤く泣き腫らした姉さんとその娘の優里菜ちゃんが、母と向かい合わせにテーブルに着いていた。
 「優里菜をお風呂に入れてあげて。」
 「え…。」
 「私、母さんと話があるの。」
 姉さんは噛み付きそうな目で僕を睨んでいる。やっぱりか。来てるのは気付いてたんだけど、喧嘩したダンナの愚痴の相手をするのが面倒で部屋に引っ込んでたのに、けっきょく振り回されるわけだ。
 「あんた、介護の勉強してたでしょ?実習させてあげるって言ってるんだから、さっさと用意しなさいよ!」
 返事をせずに突っ立っている僕にイラついたのか、姉さんはいつもにも増して激しくまくしたてた。
 「それ、二十年ぐらい前の話じゃないか。」
 「あら、そうだったわねえ。それであんた、結局どうなったんだっけ?」
 「知ってて訊くなよ。」
 人の役に立ちたい。そう思って福祉大学を目指した。でも。僕の知能では二浪しても合格することが出来なかった。諦めた僕はコンビニのガラス窓に募集を張ってあった工場のパート従業員を始め、それは数年続いた。実家暮らしなので生活するのに問題はなかったが、挫折感はいつまでも尾を引いた。対して姉さんは国立大を余裕で卒業し、誰もが名を知る一流企業で重役の地位に就いている。
 「どうも…こんにちは。」
 姉さんの隣で優里菜ちゃんが伏し目がちに僕に会釈した。
 おそらく少女向け戦隊ヒロインと思われる、やたら目の大きな女の子たちの描かれたピンクのTシャツ、膝上丈のユルフワの赤いショートパンツ、くるぶしまでのレモンイエローのソックス…。ほとんど着替える間も与えられずに姉さんの家出に付き合わされたんだろう。普段着のまんまといったいでたちだ。
 「あ、こんにちは。大きくなったね、四年生だっけ?」
 「うん、この前10歳に…なりました。」
 敬語とため口が混ざっている。小さな頃から知っている叔父の僕に、どっちで話せばいいのか迷っているのだろう。ちょうどそんな年頃か。僕にも覚えがある。気楽に話しかけてた親戚のオジサン、オバサンが実は大人の人で、敬語で話すべき相手だとなんとなく感じ始めたものの、急に話し方を変えるのに強い抵抗を感じたものだ。けっきょく僕はコッソリと少しずつ敬語に切り替えていったっけ。バレてたんだろうけど。
 「そうか、早いもんだなあ、初めて会ったときは4歳だったのにね。」
 「うん、覚えてますよ…。テーブルがクルクル回るお店だったね。」
 僕と優里菜ちゃんとは少しだけ複雑な関係にある。
 姉さんのダンナさんは同じ会社の先輩で、現在44歳。三つ年上だ。仕事はかなり出来る人のようで、間もなく取締役入りすると姉さんが言ってた。
 彼は姉さんとは二回目の結婚。優里菜ちゃんは、亡くなった前の奥さんの連れ子だ。
 結婚が決まって顔合わせすることになり、超高そうな中華料理店の個室で僕は初めて彼女に会った。4歳だった優里菜ちゃんからすれば、この人はもうすぐオジサンになるんだよ、と突然と言われてもピンと来なかったに違いない。それもあってだろうか、微妙に僕との距離感を取りづらそうにしているのを感じる時がある。
 「あの、鷹志さん。」
 「ん、何?」
 「お風呂、入れてくれると嬉しいです。ここのって広くて気持ちいいから。」
 「え、そう?僕でいいの?」
 優里菜ちゃんはコクっと頷いた。
 「いつもお母さん大変そうだから、男の人の方がいいかもしれないし…。」
 そう言って姉さんの方をチラリと盗み見た。そうか、お父さんには入れてもらってないんだ。
 「ほら、ご指名じゃない。」
 「分かった、用意してくるよ。じゃ、優里菜ちゃん、ちょっと待っててね。」
 「うん。」
 彼女の瞳の奥に、不安とも安堵ともとれない色が揺れたような気がした。
 ウチの風呂はフルオートマチックだ。設定した時間になると自動でお湯が張られ、適温でキープしてくれる。もちろん、還流清掃機能付きだから不衛生ではない。そして、一般的にはあまり見かけないお風呂専用エアコンも装備されている。オヤジがリフォーム会社をやっているおかげで、こんな贅沢な風呂に入れる。
 僕は折り畳み式の入浴介助椅子を組み立て、念のため湯の温度を確認してからリビングに声を掛けた。
 「優里菜ちゃん、いいよ。」
 「はーい。」
 ゴロゴロー、ゴロゴロー。
 優里菜ちゃんが近づいてきた。ゴム製だとはいっても、床の上を移動すればそれなりに音が出る。
 「あれ、一人で来たの?」
 「うん、このぐらいの移動は平気ですよ。この家、バリアフリーだし。」
 車椅子に座った優里菜ちゃんは、膝に着替えらしきものを乗せている。里帰りを強行したくせに、姉さんてば用意がよすぎる。
 「じゃ…えっと…。」
 「脱ぐのは自分で出来るよ。」
 「あ、うん。用意出来たら呼んでね。」
 「うん。」
 カサカサ、パサパサ…。
 衣擦れの音が脱衣所のドア越しに聞こえてくる。模様ガラスの向こうでは、小さな影が揺れている。
 「…一美、なんであんたが引き取るのよ。自分が産んだ子でもないのに。」
 リビングから母の声が漏れ聞こえてきた。
 「だってしょうがないでしょ。あんなのに任せられないし、他に居ないんだから。」
 姉さんの無神経な声も。
 「優里菜ちゃーん!用意できたかなー!」
 僕は大きな声で呼びかけた。
 「うん、お願いします。」


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