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*俺の中のあいつ*
【悲恋 恋愛小説】

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*俺の中のあいつ*-1

俺はいつの間にか恋と言うものをした。
視線の先にはいつも『あいつ』がいて、目がいつの間にか『あいつ』を追いかけてて、始めは嫌いだった。なのに視線の先にはいつも『あいつ』がいる。
これが恋だと言う事に気付いたのは最近で、俺は『あいつ』にハマっていった。なんでかわかんない。でも怒ってる顔も泣いてる顔も笑ってる顔も、『あいつ』の全てが愛しく思えて、あいつが男としゃべんのがすげぇむかついて、俺の物にしたいと思った。
周りなんて見えなくて、『あいつ』しか見えなくて、俺は『あいつ』に言った。好きだって…
俺は『あいつ』がしゃべんのをずっとまってた。でも『あいつ』は言葉を発さなくて、顔をのぞいたら『あいつ』の頬に一筋光が流れて、泣いてた…小さな声で「ごめん」って何度も何度も「ごめん」って…
俺は『あいつ』の涙が耐えられなくて、泣いてる『あいつ』をおいてにげた…俺は最低だ。
家に帰って何度も何度も自分をせめた。
それでも『あいつ』が好きだった。
『あいつ』の全てが愛しかった。
タバコをすいながらずっと考えてた。いつの間にか俺は泣いてた。
なんでかわかんねぇ。でも涙が止まんなくて、次の日あいつに謝ろうと思って学校に行った。いつもの道が長く感じて、早く『あいつ』にあいたかった。学校についた俺は目をうたがった。『あいつ』の机の上に花と遺影がおいてあった。頭がまわらない。気付いたら俺は『あいつ』の家の前にいた。息を切らして。
家の中からは沢山のすすり泣く声が聞こえた。
震える足で俺は家の中に入って行った。がらんとした玄関に沢山の黒い靴。そう、『あいつ』が死んだ…。玄関で立ちすくむ俺を『あいつ』の母親が見つけた。『あいつ』の顔をみた。笑っていた。今にも起きて話しかけて来そうなくらい…
でも小さな『あいつ』の手が俺を現実にひきもどした。
『あいつ』の小さな手はすげぇ冷たくて。
その冷たさに涙が溢れた…『あいつ』の母親が俺に話しかけていたが、そんな声は俺には聞こえなかった。
頭の中で昨日の『あいつ』がいた。泣きながら謝る『あいつ』…
何も考えられなかった。何も考えたくなかった。頭がまわらないまま俺は家に帰ってタバコを吸っていた。
携帯が何度もなったがでなかった。
メールをみたら5件きていた。みたら『あいつ』からのメールが一通…
息をのんだ、今日の朝方とどいた物らしい。
メールの内容は題名「Re:竜くんへ」本文「昨日はごめんなさい。昨日竜くんが好きって言ってくれてすごく嬉しかったょ。」
たったこれだけ。
でも、これだけのメールだったから…すげぇ嬉しくて、悲しくて、辛くて…
俺はその夜ずっと一人で泣いていた。
家に引きこもってから一週間、ダチが俺の家へ来た、軽くあいさつをしたあとダチが口をひらいた…。『あいつ』が死んだ理由を話し始めた。
『あいつ』は二年前から病気になり病院にかよっていたが、俺が気持ちを伝えた次の日の朝、発作を起こし倒れてそのまま息を引き取った…。と。俺は泣いていた。
何も考えずただひたすら泣いた。そしてあいつの家に向かって走った。
『あいつ』の家に入る。『あいつ』の母親が何も言わず一通の手紙を俺に差し出した。
手紙は…『あいつ』からだ。
竜くんへ
私も竜くんが大好きだよ。でも私は病気で、竜くんの重荷にはなりたくないの。私はもうすぐいなくなっちゃうきがするから…。だから竜くんの気持ちにわ答えられないけど、私は世界で一番竜くんが大好きでした。
さよなら、竜くん。
      雛より

一枚の手紙にこめられた『あいつ』の思い…。
俺はその手紙を握り締め『あいつ』の家をでた。また涙が溢れた…。
こんなとこ『あいつ』に見られたらなさけねぇ…そう思い涙をふいて家へ帰った…。
『あいつ』が死んで5年の月日がたった。
俺は毎年『あいつ』の命日に手紙と花束をもって『あいつ』の家に行っていた。
今年もまた花束を買って『あいつ』のとこに遊びにいくか…。

終わり


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