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長い夜は湯煙と共に
【SM 官能小説】

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入浴再び、そしてミッション通告-1

「ついさっきまで童貞だった僕が、まさかあんなモデルみたいな人と、あんなことになっちゃうなんてなあ……」

僕は自分の部屋を出て、物思いにふけりながら一階のロビーへと向かっていた。
つい数分前、僕は実梨亜さんの喉に精液を発射していた。そして実梨亜さんがその精液を全部飲み込み、さらに舌を使って僕のちんちんを舐め洗いするところまでを動画に収めていた。
そして今、実梨亜さんは自分の部屋に戻っている。

『申し訳ありません、御主人様。本当はこのまま添い寝をさせていただかなくてはいけないのですが、このまま戻らずにいると、わたくしの連れが何かを嗅ぎ付けるかも知れません。明日自宅に戻りましたら、すぐに連絡を差し上げますので、どうかお許しを……』

ということだった。もちろん僕に異存はなく、そのまま別行動となったのである。

(帰ったら実梨亜さんにまた会うことになる。実梨亜さんは男性との交際経験はゼロだって言ってたけど、それでもいろんな男性と関わりがあるはずだ。高校生で、しかもたったいま初体験したばかりの僕が、うまく付き合えるかな……)

そんなことを考えているうちに、一階に着いた。ロビーに行く目的は、そこに置いてある自動販売機である。一連の出来事で喉がカラカラになっていたので、何か飲みたかったのだ。
館内は暗かったが、自動販売機は明かりが点いているので、すぐに見つかった。

「あ、あそこだ……ん?」

自動販売機の明かりに照らされ、誰かが立っている。僕は足を止めていた。
それは、浴衣を着た女の人だった。実梨亜さんではない。長身だが実梨亜さんほどではなく、結っていない黒髪を背中に長く伸ばしている。
確か、今日の泊り客は僕の他には、実梨亜さんとその連れの2人しかいないはずだ。だから間違いなく実梨亜さんと一緒に来た人だろう。だとすると、今朝駅で一度見ているはずなのだが、実梨亜さんの印象が強烈過ぎたせいか記憶にはなかった。

僕は音を立てないように後ずさりし、そっと壁際に身を潜めて様子を伺った。別に鉢合わせしたところで悪いことはないのかも知れないが、何しろ実梨亜さんとあんなことになった後である。接触して万一厄介なことになったら面倒だ。おそらく向こうは、僕と同じように自動販売機に飲み物を買いに来ただけだろう。すぐにいなくなるはずだ。

「……何やってるんだろ?」

ところが、黒髪の女の人は自動販売機で何を買うでもなく、しばらく立ったままだった。そして片手をそっと上げると小さい歩幅で何歩か歩き、体ごとくるりと回って後ろを振り返った。あれは……

「踊りの稽古……か」

日本舞踊か何か、詳しくないので分からないが、間違いなく彼女は舞い始めていた。優雅な動作で手首を返したり、足運びをしたりしている。

(おお……)

素人目にも美しく思えて、僕は喉が渇いたのも忘れて見とれていた。

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………………………………
……………………
…………

ひとしきり舞い終わると、女の人はどこかへと消えて行った。僕は本来の目的を思い出し、財布を出して自動販売機に向かう。
自動販売機で、お茶とコーラとジュースとスポーツドリンクを買った僕は、一旦部屋に戻ってコーラを飲み干した後、もう一度お風呂の支度をして浴場に向かった。やっぱり温泉旅館に泊まるからには、全部のお風呂を試してみたい。さっきは混浴だったので今度は男湯だ。泊り客の男は僕だけのはずだから、貸し切り状態で入れるだろう。

男湯は、混浴風呂に負けず劣らず立派だった。かけ湯を浴び、汚れを落としてから、まずは屋内の湯船に浸かる。

「はあ〜やっぱりいいなあ……」

お湯に浸かると、悩みや考え事など綺麗さっぱり抜けていくような心持がした。もちろん現実が何か変わるわけじゃないんだけど、今はこの気持ちを楽しもうと思った。

……と、そのとき、ガラガラっと入口が開く音がした。

「え……?」

誰だろう。僕は怪訝に思った。宿の人か、あるいは急に新しい男性客が泊まりに来たとかだろうか。入口の方を見てみると、人影が入ってくるのが分かった。でも、湯気のためにその姿はよく見えない。

「……?」

そのまま見ていると、だんだん相手のシルエットがはっきりしてきた。正面から見て分かるほど大きく膨らんだ胸。くびれたウエスト。豊かな腰回り。女性だ。

「あの! ここ、男湯ですけど……!」

女性だと分かった瞬間、僕は大声で注意していた。だが向こうは、全く意に介することなくこちらへ向かってくる。

「あのっ、聞こえてますか? ここは男湯……」
「あら、そうでしたの」

湯船の前まで迫った女の人が、全く関心がなさそうに返事をした。身長は175センチぐらいあるか。おっぱいは……実梨亜さんほどではないけれども、ゆうにバレーボールくらいのサイズだった。髪はまとめて頭にタオルを巻いており、一応、水着を着ている。
ところが、その水着が異様だった。色は普通の黒だが、競泳用でもビキニでもなく、両肩から股間にかけてV字上に2本、細い紐が走るという形状だ。Vの字の左右の線が、2つのおっぱいの頂点をギリギリで隠しているが、何かの拍子に2、3センチでも横にずれればその時点でアウトだ。

「お邪魔しますわね」
「あの、でも、ここは……」
「もう、固いことをおっしゃらないでくださいまし。入り直すのが面倒ですわ」

そう言うと、女の人はかけ湯をしてから湯船に入って来て、僕のすぐ隣に腰を下ろした。

(やばい。この人凄く自分勝手だ……って、え……?)


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