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夢と現実のはざまで
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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夢と現実のはざまで-4

「それにしても……」
 覚が無感情な目つきで、足元の哲志をちらりと見やる。
「さっきから全然動かないね、彼。ひょっとして死んでる?」
「まさか。疲れてるだけでしょ。最近残業が多かったし」
 素っ気なく言い放つと、晶葉も夫に向けて冷ややかな視線を飛ばした。
「なんか『てっぺんまでのし上がるにはこれくらい根性を見せてアピールしとかないと』とか言ってたけど」
 哲志の口真似をしてみせる晶葉に、覚はやれやれ、と苦笑を浮かべる。
「残業なんて無能の証拠。うちの場合、やるべきことをしっかりやりさえすれば確実に定時で終われるんだから。いくら頑張ってますアピールをしても、見てる人はちゃんと見てるよ」
「うん、そうだよね……やっぱり騙されたのかな、私」
 独り言のように呟いた晶葉が、遠い目で安っぽい社宅のくすんだ天井を見上げた。
「学生結婚だっけ?」
 晶葉の豊かな胸に顔をうずめた覚が、目線だけをちらりと向けて尋ねる。
「うん、一応はね。この人の内定が出たのと同時に結婚したから、その時点ではお互いにまだ学生だった。この人、本当に押しだけは強いから、ついオッケーしちゃって」
「ああ。職場でも後輩捕まえてよく自慢してるよ。男は押しの一手だぞって」
 まあ誰もまともに聞いちゃいないけどね、と続けそうになるのを覚は抑えた。それは多分、わざわざ口にするまでもない一言だった。
「学生の頃はそれがかっこよく見えた。たくましくて、将来性があるように感じたの。だけど結婚してみたら全然違った。口ばっかりで、偉そうなだけのつまんない男」
「社会に出ると勢いだけじゃどうにもならないことの方が多いよね。圧倒的に。ただ暑苦しいだけの人って有害なんじゃないかな。世の中的には」
 ため息混じりで嘆く晶葉に淡々と応じて、覚はさらに言葉をつなぐ。
「大体、さっき話したプロジェクトだって準備はちゃんと進んでいたんだ。上司の了解も取りつけていたし、動き出すまでは本当にあと一歩だった。なのに、彼はいきなり首を突っ込んできたんだ。何にも分かっていないくせに、『もう我慢できません。とにかくこの俺にやらせてください!』とか意味不明の鬱陶しいこと言って」
 喋っているうちに、覚の動きがだんだん早まってきた。
「『とにかくやる』が口癖だよね、彼。会社でもそればっかりだ。で、何にも考えず無意味な行動ばかり起こして、結局全部ぐだぐだになる。問題を指摘されても『俺はとにかく動いた。何もしなかった奴に文句を言われる筋合いはない』って逆ギレ。は、もう笑うしかないよね」
 秘めた怒りをぶつけるように、攻撃的なピストンが続く。
「うっ、ん……ほんとそれ、毎日接しているとしみじみ感じる。勢いだけなのよね、所詮は。普段の生活も、エッチも、全部独りよがりで」
 覚に同調しながら、晶葉は何かを諦めたような顔でそっと目を伏せた。


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