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キミの体温 ボクの吐息
【女性向け 官能小説】

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思わず出たその言葉に、これ以上は待てなかった、と
自分自身を納得させる。
ゆっくりと目を閉じて大きく息を吐き出した。

「新田くんっ、ごめんなさい」

聞き覚えのあるその声に
夢じゃないだろうかと、瞼を開けるのを一瞬ためらった。

夢なら覚めないでほしい。
ゆっくりと開いた瞼のその向こうに
息を切らして、コートも脱がずに立ちつくす彼女の姿があった。

「遅れてごめんなさい。
会社でトラブルがあって、この時間になっちゃったの」

来て、くれただけでいいんだ―――

言葉が喉に張り付いて、声にならない。

「もう、今からお料理は無理よね」

まばらになった客席を見て
申し訳なさそうに謝るけど。

クリスマスディナーなんて、興味はないんだ。
キミが俺のそばにいてくれれば、何も要らない。

その時、先ほどからワインを継いでくれているウェイターがそっと来て
「新田様、失礼ですがテーブルの上に置かれているのは当ホテルのルームキーでしょうか?」

あぁ、そうだ。
使うあてもないのに1年前から、このホテルのディナーと部屋を予約した加賀が
今年も彼女が出来なかったから譲ってやると
ディナーの席と一緒にホテルの部屋も譲ってくれたんだっけ。



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