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熱闘!全裸体育祭
【教師 官能小説】

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第40話 『ささやかな狂気』-3

 小さく肩を竦めた49番は、

「あのですね、1組には『セルフビンタ』とか『セルフ鞭打ち』とか、自分で自分を罰するお仕置きがあるんです。 全般ひっくるめて『セルフペナルティ』って呼んでます。 で、あたしはしょっちゅう『セルフペナルティ』させられてて、それまでは『ビンタ』とか『尻叩き』とか、無難な罰を選んでました。 それを、1学期の終わりからわざと変なペナルティにしてみたんです。 多分、あたしが変なことし始めたのがきっかけですね。 イジメられなくなったっていうか、気持ち悪がられて、みんながあたしから離れたっていうか……実際のトコ、そんな感じです」

 つまらなそうに呟いた。 

「変な罰……どういう内容か気になりますね」

 22番は小首をかしげる。

「2組だったら『額縁ショー』っていって、壁に開いた穴にはいってエッチなポーズをするとか、『G飯』っていって、ゴキブリが入ったご飯を食べる、みたいな罰がありますけど。 こんな感じの罰ですか?」

「そうそう、そんな感じです。 追い詰められた発想って、どこでも似てくるもんなんですね。 まさに『G飯』な発想です!」

「あの……ほ、ホントですか? 私が紹介しておいてなんですケド、『G飯』は滅多にないですよ。 気持ち悪る過ぎだから、先輩も同期も自重してるのが現状です。 私だって1回も『G飯』は経験ありません」

「そうなんですか? せっかく22番さんと共通点が増えるって思ったのに、残念です」

「いや、それは残念っていうよりも……えぇ?」

 49番が楽しそうに反応する一方、冷や汗を浮かべてたじろぐ22番。 

「あたしはお腹が空く性質なので、『食事系』でみんなが嫌がるペナルティにしてました。 例えば蝉の幼虫とか、油菜につく芋虫もそうですし、樹液に群がる甲虫もです。 そういうのを手あたり次第に食べるだけでも、随分お腹が膨れました。 ということで、虫食をペナルティにして、誰かに叱られるたびに何やかんや食べてたら、いつの間にかみんなとすっごく距離が離れちゃいまして」

「蝉……芋虫……ですか」

「芋虫、美味しいですよ。 生で食べるんですけど、歯ごたえは人それぞれ好みがあるとして、苦み走ってピリピリした、それなりの味がしますから。 今だって探したら1匹や2匹、すぐ見つかりますけど……まあ、別にお腹空いてませんし、味見は止めときましょう。 甲虫や芋虫が見つからない時は、ヒルや蛆を食べましたっけ」

「蛆……って、アレですよね? ハエの幼虫の、赤っぽかったり白っぽかったりする?」

「それです、それ♪」

 22番と対照的に、ニコニコと49番は微笑んでいる。

「チツマンコに腐った肉汁を詰めて、体半分を土に埋めて、チツマンコだけ外にだして夏場に放置してみてください。 一晩でハエさんがびっしり卵を産んでくれます。 そのまま半日も断たないうちに、蛆さんが孵化してチツマンコが真っ白になります。 ほっておいたらオマンコが虫に食べられちゃうから……ヤられる前にヤるっていうか、こっちが先に全部平らげるしかありません。 一匹でも残ってたら大変だから、味わう余裕なんてないですよ。 ひたすら、ガツガツ、貪る感じで頑張りましたね〜」

「そう……なんですか……」

 相槌をうつ22番から、さっきまでのキレが失せていた。

「でも、一番みんなが引いたのは、蛆や芋虫の時よりも……あたしの腕を食べたときでした。 あ、腕っていっても、一口噛み千切っただけですよ? 治らない傷をつけるのは、例え自分の体であっても、学園的にはNGですよね。 一ヶ月もかからないうちに治るレベルで右腕のお肉をちぎって、それを呑み込んで見せただけなんですけどね」

「……」

「ここが、あたしが噛みついた場所です。 痛かったですけど、痛さも込みでペナルティって思ってたから、覚悟を決めて全力で噛みました。 お肉を噛み千切れるか不安でしたが、やってみたら大概何とかなるもんですね。 腕は2週間ズキズキしましたけど、お蔭でクラスメイトと距離が開いてイジメられなくなりましたから、あたし的には勲章なんですよね、この歯型って」

 ポカンと口を開き、眉間に皺を寄せるのみで返事をしない――そんな22番に、49番は右腕にくっきりついた歯型を見せてくれた。 時系列的には3か月近く前につけた歯型ながら、まるで昨日今日つけたように鮮やかだ。 逆にいえば、それだけ跡が消えないわけで、容赦なく本気で齧ったことの証明といえよう。 

 『葬式ごっこ』『蚊ごっこ(自分の動脈に針をさして血を吸う)』『石ころゴックン』等々――49番は22番に、自分が自らに課したペナルティを説明した。 苦労自慢をするわけでもなく、自虐的に嗤うでもなく。 単なる一個人の経験として、まるで世間話であるかのように気負いなく話す素振り。 最初は唖然としていた22番も、しばらくして『49番の異質さ』に気づいた。

 どこがどう異質なのか説明はできないが、明らかにどこかが何かオカシイ――。

「――あたし、別に大したペナルティはしてないんです。 だのに、みんなやたら構えちゃって……気難しい年頃です」

「そ、そういうのってありますよね……わかります」

 溜息をつく49番に、辛うじて相槌をうつ22番。 絶対服従週間が終わるまで、2人っきり、ベンチに並んでの語らいは続いた。


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