しろいろ-2
ぱらっ …… …… …… …… ……
ぱらっ …… …… …… ……
ぱらっり …… …… ……
ぱら …… ……
ぱさっ ……
「ふうっ」
本を読み終えた少女は、そっと息を吐く。
僅かに高揚した雰囲気を滲ませる瞳は、手にした本が知的好奇心を大いに刺激したことを示す。
『本を読むことは、好き?』
テーブル対面で椅子に深く腰掛けた青年は、優し気な声で問いかける。
「うん、大好き! でもっ…… 」
『でも?』
「でもっ…… でも、どうしてこの夫婦は…… 」
小さな唇は、読み終えた物語の感想を素直に告げる。
それはまだ、穢れを知らぬ少女ならではの感性とも言えた。
『そうだね…… それは本当に大切なのは…… ん〜、でもその本質を知るには、恵莉がもう少し大人になってからになるのかな?』
初版からすでに百年以上経つ短編小説のタイトルを見ながら、青年はレンズ越しの大きな瞳に、そう語り掛けた。
「大人に…… 大人になれたら……? 」
少女が小首を傾げると、シンメトリーの三つ編みがわずかに揺れる。
綺麗に編み上げられた黒髪は肩甲骨まであり、それが少女の幼さをよりいっそう際立たせる。
147センチの身長は平均的ではあるが、それに比べ胸の膨らみは少しだけアンバランスな成長を見せていた。
「…… 」
青年の視線に気づくと、頬を染め恥じらい俯く少女。