投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

真っ赤なリースの最初へ 真っ赤なリース 45 真っ赤なリース 47 真っ赤なリースの最後へ

第6章 不倫の入り口はクリスマス・イヴ-2

田澤の運転する車に乗った朱音。普段田澤とは捜査の報告をする時以外には会話を殆ど持った事はなかった。それに華の捜査一課長である。普段から他の刑事とは異なり一段高く見ている存在だ。会話するのも緊張するし、車に2人だけな事は尚更緊張する。特に会話は見つからなかった。

しかし田澤から話しかけてくる雰囲気は全くない重苦しい車内。何か話した方がいいのかなと朱音の方がソワソワしてしまった。朱音はまだ自分を庇ってくれたお礼を言わなければならないと思い、様子を見ながら恐る恐る口を開く。

「あの…」
「何だ?」
そう答えられただけでも構えてしまう。すでに喉がカラカラに乾いていた。朱音は唾を飲んみ心を落ち着かせてから言った。
「私の事…庇ってくれて…ありがとうございました…。」
どう反応を見せるか不安そうに様子を見ていた朱音。田澤は前を向き運転しながら答える。
「庇った訳ではないよ。思っている事を言ったまでた。」
そう言って微かに笑ったように見えた田澤に若干の照れを感じた朱音は少し緊張感が和らいだ。おかげで言葉が発しやすくなる。
「課長が私の事を評価してくれていただなんて…、あんな風に思っていてくれてただなんて…知りませんでした。」
「そうか?」
「はい…。私、嬉しかったです…。」
そこにはバリバリ男性刑事とやり合っていた朱音の姿は全くなかった。まるで初恋の相手と緊張しながら会話するか弱い乙女、そのものの姿であった。
「優秀な者を優秀だと言っただけさ。それに部下を守るのは当然の事だ。平気で見捨てる事は俺には出来ない。それが立花でなくても同じ事をした。お前だけ特別扱いした訳じゃない。」
言葉の1つ1つに胸をキュンとさせられてしまう。
「それでも嬉しかったです。ありがとうございました。」
田澤は鼻の下を指で擦りながら言った。
「当たり前の事をしただけだ。だが…正直立花を失う事だけは避けたかったのも、確かだがな。」
「えっ…」
驚いた表情をし田澤の横顔を見つめる朱音。決して顔を向ける事もなければ追加されてる言葉もなかったが、そんな田澤に暫く忘れかけていた朱音の中の女心と言う者が激しく鼓動した。

「さあ着いたぞ?取り敢えず何も考えず腹一杯食え。」
そう言って車を降りた田澤の後を慌てて追い、やはり三歩後ろを歩いてついていく朱音であった。


真っ赤なリースの最初へ 真っ赤なリース 45 真っ赤なリース 47 真っ赤なリースの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前