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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第6章 不倫の入り口はクリスマス・イヴ-1

世間では今日、クリスマス・イヴである。謹慎が始まってからずっと独身寮に軟禁されている朱音にはクリスマス一色であろう街並みは分からない。しかしテレビでクリスマスを扱う番組が流れてもそのような気分には全くならない朱音であった。

謹慎中、やはりずっと頭から離れないのは目の前で2人の血が噴き出したあの光景だ。目から焼き付いて離れないとはこの事であった。特に目を瞑るとそれが鮮明に頭の中に浮かび練れない日が続いていた。

そんな中、あと1つ考えていた事がある。それは田澤があんなに自分を評価してくれていた喜びであった。正直、扱いづらい生意気な女だと思われている事だろうと思っていた。しかし冷ややかな目で自分を見る人間が多い中で守ってくれたのは田澤1人である。朱音は田澤の事を考える時間が日増しに多くなっていた。その瞬間だけ真っ赤な海を忘れる事が出来た。田澤への感謝の気持ちを噛み締めている内に、朱音の田澤に対する想いは庇ってくれた上司への感謝から、別物の想いを描くようになっていた。

ベッドの上にうずくまり、血の海と田澤の事を交互に頭の中に浮かばせていた朱音。するといきなりドアをノックし、返答を待つまでもなく中に入って来た誰かに気付いた。
「あ…」
幻かと思った。朱音の瞳に田澤の姿が映る。
「どうだ?落ち着いたか?」
いきなりの事に動揺する朱音だが、とっさに正座する。
「え?は、はい…」
どうしてここに田澤がいるのか分からずキョトンとしていた。
「今日はこれからの立花の処遇について伝えに来た。それと正式に謹慎を解く許可が出た。お前もずっとここに閉じ込められて息が詰まってただろう。たまたま今日はクリスマスイヴだ。せっかくだから街へ出て話をしようか。」
「え…?」
「まぁ、復帰祝いだな。随分と痩せたみたいだしいいモン食って元気出せ。」
「で、でも…」
「いいから着替えろ。」
「は、はい…」
「じゃあ表で待ってる。」
「は、はい…」
部屋の外に出た田澤。着替えろと言われても服など持って来ておらず、ここに連れて来られた時に来ていた捜査用のスーツとコートしかない。街はお洒落をした若者で溢れている事であろう。そんな中このような地味な服でクリスマス一色の街の中を歩くのが恥ずかしく感じた朱音。しかし外では田澤が待っている。朱音は仕方なしにスーツを着てメイクする事も忘れ慌てて部屋を出たのであった。

スッピンと地味な服など気にする様子も見せずに田澤は
「行くぞ。」
と言って朱音の三歩前を歩いていたのであった。


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