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真っ赤なリース
【スポーツ 官能小説】

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第5章 救いの手-4

「今回の件、まず立花が容疑者を刺激せずにもっと慎重に対応していれば人質が刺される事はなかったと言う結論になった。加えて一連の連続強姦強盗殺人事件の全容解明に向けて身柄確保をしなければならない容疑者の頭を撃ち抜く必要はなかった。冷静さを欠いた身勝手な判断により起こしてしまった大失態と言わざるを得ない。立花の取った行動は過剰防衛であったと結論づけられた。よって立花朱音、君を懲戒免職に処する事が決まった。異論はないだろうな?」
「は…い…」
異論など言う気もなければ気力もない。どんな処分でも受け入れるつもりでいた朱音はゆっくりと頷いた。むしろ刑事でい続ける苦しみを考えれば温情処分にさえ感じてしまう。

「あとこの件に関して一切の発言は禁ずる。今週中に正式に処分が下され辞職してもらうが、半年は我々の監視の元、世間からは雲隠れしてもらう。いいな?」
「はい…。」
軟禁を示唆する言葉だが、むしろホッとした。今、世間の中で生きていける自信はなかったからだ。どんな非難を浴びせられるか怖くて仕方がなかった。組織を無視した自分を警察は匿ってくれる…、そう朱音は感じてしまう程に世間が怖かった朱音なのであった。

「あとは島田君、君にも当然…」
島田にも懲罰が与えられた。しかし朱音にその言葉は全く入って来なかった。頭の中で何度も何度も人の体から噴き出る血潮の場面がリプレイされていた。もうどうにでもなればいい…、朱音は人生そのものを諦めかけていた。だが微かに残る刑事としての未来を望む気持ちがあったのも確かだ。しかしそんな微かな望みは頭の中で噴き出る血潮の海にもはや飲み込まれてしまった。自分が奪ってしまった2つの命の重さに朱音は押し潰されそうになっていた。

「とにかく今回の件は絶対に勝手な発言をしないように。全署員に箝口令を出しておいた。張本人の立花には隙あらばコメントを取ろうとマスコミ各社が目を光らせているだろう。これ以上警察の威厳と信頼を失墜させる訳にはいかないんだ。死んでも口を閉ざすように。分かったな?」
「はい…。」

本部長は一息ついてから改めて口を開いた。
「立花…、君には大きな期待を抱いていたが、こんな結果を招くとは非常に残念だ。失望したよ。」
その一言に朱音が受けたショックは計り知れなかった。今まで事件を解決に導く活躍をし何度も手放しに賞賛の言葉を受けていた同じ人間から出たその言葉はまさに決別に値する言葉として朱音に突き刺ささったのだ。この瞬間、刑事としての立花朱音の人生は終わったんだ、そう認めざるを得なかったのであった。




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