第２８話 『ペナルティ授業、数学と美術』-3
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月曜３限、美術。 芸術棟美術教室。 事務仕事が一段落したので、美術担当の許可を経て、１２号は教室隅から参観しすることにした。 もともとＨＲ教室の倍ほどあるため、１・２組が合同授業になってもスペース的には余裕がある。 片隅に教員が陣取ったところで問題なし。 生徒は教員の視線を感じてやりにくさがあるだろうが、それはそれ、これはこれだ。
１２号は、事前に美術担当教員から授業内容の説明を受けている。 少女の全面に非乾燥性の絵具を塗り、和紙をあてて拓本をとる――『魚拓』ならぬ『牝拓』だ。 ２組生徒が版になり、１組生徒が拓本をとる。 第１姿勢から第６姿勢、或は『Ｖ字開脚』から『カエル開き（両手で性器を開帳する）』まで多種多様なポージングだ。 机の上に立たされた２組生徒たちは、１組生徒が命じるまま、象られるべき姿勢をつくる。
「下地はきっちり塗りんさい。 押しつけたとき、当たり前やけど、絵の具が塗って無きゃあ型にはならんからな。 ベッタリ、ネットリ、丁寧にすきまなく塗りんさい」
「教官、このくらいで大丈夫ですか？」
第３姿勢に腰を落とした２組生徒に対し、陰唇をめくって裏側まで赤い絵の具を塗りながら、１組生徒が質問する。 教官は机の上でがに股になった少女の股間を無造作に拡げ、あちこちの柔肉をカンカンに伸ばし、ためすがめす眺める。
「全然あかん。 中もいっちょまえに仕上げんと。 なんせ襞は皺が多いき、ちゃんと皺を１つ１つのばして、隙間も全部塗りんさい」
教官が両手を小陰唇にかけて力いっぱい伸ばすと、確かにあちこちに肉色の肌が覗いている。 １組生徒は平謝りで、すかさず絵具がのった筆を小陰唇の内側に走らせた。 時折２組少女がビクビク震えるのは、絵の具に含まれる刺激剤のせいだ。 和紙への粘着度を増すために添加したＰＶＡには、水酸基を多く含むが故に粘膜表面を刺激する。 恥部に刺激剤を直接塗られれば、どんな貞淑な少女であろうと悶えずにはいられない。 ポージングする少女たちは、例外なく全身、特に陰部を掻きむしりたい衝動に耐えていた。
「パイオツもマメに仕上げんとな。 特にパイオツがでかいんは、肉が垂れてしょーもないことになりやすいんよ。 パイオツの潰れ具合までしっかり映すんやから、横乳にこそたっぷり絵具をつけんさい」
意地が悪い生徒ほど、一筆一筆丁寧に、たっぷり絵具をすくって塗りたくる。 時に筆先で乳首を弄び、鳥皮みたく毛穴が浮いた脇を擽り、動けない２組少女をねちこく苛む。 少女が刺激に耐えかねて動いてしまった場合、少女は『牝拓失格』の烙印と共に、新たな指導を受けることになる。 ゆえに何があっても動くまいと頑張るほど、甚振る筆は勢いを増す。 下から順に色をつけて、最後は顔だ。 頬、鼻のてっぺん、額、瞼、顎はもちろん、唇、鼻の下、鼻の穴まで絵具を塗る。 中には『舌を出せ』と命令して、緑色に舌を染める１組生もいた。
１２号が気に入ったのは、モデルを勤める２組少女の『鼻の穴』に対し執拗に拘った５０番の取り組みだ。 両方の穴が隠れるまでたっぷり塗り付けると、当然少女は息ができない。 しばらくは息を止めて耐えてみせるが、やがて耐えきれなくなって鼻から息を吐く。 絵具が邪魔をして上手く鼻息ができず、んっ、んぐっ、呻きながらようやく絵具を鼻の穴から押し出すが、すかさず『ダメでしょう、ちゃんとジッとしてなくちゃ』といって、絵具を盛った筆で鼻の穴を塗り込める。 動かなかった点をこれ見よがしに指摘して、絵の具を塗っていない尻に強烈なビンタをお見舞いするのも忘れない。 仕方なく２組の少女が息を止めるが、どうせ遅くとも２分後には限界が訪れるのだ。 その度鼻の穴に別な絵具を塗り直し、何度も尻を叩き直す。 呼吸困難によるチアノーゼも加味し、版を勤める２組少女の赤紫に塗られた唇は、いつしかくすんだ青紫に染まっていた。
２組生徒全員が全身に絵具を下塗りを終えたところで、好き勝手に１組生徒が装飾を入れる。 お腹に『おまんこマーク』や『ニコニコシール柄』を描く生徒もいれば、真面目に風景や校舎、大木や花柄を描く生徒もいる。 中には『酸素を汚してごめんなさい』やら『まん臭クサ過ぎて申し訳ありません』、『うんち製造機兼うんち処理装置』、『人間廃業中』といった文字を、乳房といわず膣といわずお腹といわず、全身にビッシリ描く生徒もいえる。 そんな生徒に限って、きっちり『逆文字』になおして『牝拓』の完成時を考慮しているから面白い。
椅子を前に寄せ、後ろ半分に空きスペースをつくる。 床に１．５メートル四方の和紙を人数分拡げたところで牝拓も最終工程に入った。