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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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いつだって-8

「はぁー結構いけるな水原さんの手料理。」
「私は、大した事なんて。」

久しぶりの一人でない食卓に若干この部屋も明るみが増した。

「それにしても普段はいつもこうなの?」
「えっ?いつもって…。」
「だから家の食事よ、今夜は私が居るけど普段は…。」
「親父も仕事で残業をよくするからな、…そうでなくても同僚や上司との付き合いで飲みに行って遅くなるし。」

箸に白飯をつまみそれを口に入れつつそう返事をする。

「寂しく、ないの?」
「…ううん、そりゃ平気だっていえば嘘になるけど。」
「お父さんに早く帰ってきてもらう事って出来ないの?若しくは新しいその再婚相手の方とか。」
「だから忙しいんだから無理だって、帰りが遅いのだって大概は俺の為でもあるんだ、今まで苦労を掛けたからって、多少無理してさ、再婚相手つまり俺の新しい母さんも俺に良くしてくれはするけどどこか一歩引いてるって感じで、俺から逃げるって訳じゃないけど彼女も仕事で。」
「……。」

そんな話をしてたら兄夫婦と過ごした日々を思い出すな。

「……だったら。」
「?」
「わ、私が来てあげようか?そりゃ毎日って訳にはいかないけど。」
「……え、なんで?」
「それは……。」

膝を片手でギュと掴み、顔を真っ赤に染めこわばった顔でこちらを見つめる。

「いいよ!そんな!ちょっと引っ越しの荷造り手伝っただけで、買い出しに料理そして夕飯のお供だ何て。」
「分からないっ!?ただのお礼でここまで普通しないよっ!」
「っ!」

彼女の態度が豹変し、ちゃぶ台をバンッと叩き、声を荒げる。

「ごめんなさい…。」
「あーいや。」

俺は未だこういう事に疎い、柊さんの時もそれで苦労をかけたな。

「代わりでいい。」
「え。」
「その料理や部屋の片づけをしてくれたその女の子の代わりでいいから…、私と、ずっとこうしていさせて欲しい。」
「水原、さん…。」
「荷造りに手伝いに来てくれた時、最初は本当にただただ良い人だなぁーってそのくらいにしか思わなかった、けど地元の案内とかしてもらううちにそうは思えなくなってしまったようで。」
「……。」
「何かゴメン、こんな一方的にお礼だ何て言ってズカズカ言い寄って、迷惑…だよね。」

小さな俺の家に流れる重苦しい空気。

時計の刻を刻む音だけがただ空しく鳴り響き。

俺は考えを巡らせ。そして重たい口を開く。

「…正直俺はもう恋にはうんざりしてる。」
「っ!」
「君にはとても感謝してる、ただ買い物や料理を付き合ってくれたからではなく孤独な俺に付き添ってくれて。」

家庭は勿論、ここ最近はほとんど学校でも孤立している。蓮や巴に柊さんとも会ってすら居ない、別に彼らに嫌われた訳ではなく俺自身がそれを望んだ部分もあったけど。

「君が居てくれたおかげで孤独な日々に僅かながら充実した日々を見る事が出来た。」
「佐伯、君…。」
「けど俺は水原さんを好きにはなれない、いやなっちゃいけない気がするんだ。」
「もう、恋はしないって…。」
「あぁ、それでまた誰かを傷つけるのはゴメンだから。」
「……そっか。」
「ゴメン。」

ようやくたまりに溜まった重りが一気にストンと落ちた気がする。

「分かった、良いよそれでも!」
「えっ?」
「ただ一緒にはいさせてどっちみちお隣同士だしお互い嫌でも顔は合わせるんだしさ。」
「それって…。」
「私は諦めないから、いつか君のその心の扉の鍵を開けてみせる。」
「……。」
「今は友達でも、何ならただのお節介な隣人ぐらいにでも思っててくれて構わないからだから、ね?…そのくらいは良いでしょ?」
「…うん、そうだねどうなるか分からないけど、自分で言うのもおかしな話だだけど、頑張ってね。」
「…あっはは♪うん、そうする!」

そういうと彼女は席に立ち食器洗いをし、家を後にした。

俺はそんな彼女を玄関から自分の家に帰るまでじっと見守った。

水原、さん…


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